京アニ放火殺人事件の判決受け遺族が心境〈前編〉「どんな判決が出ても、息子は帰ってこない」
2024年02月02日
36人が死亡し、32人が重軽傷を負った2019年7月の京都アニメーション放火殺人事件。青葉真司被告(45)に死刑を言い渡した先月25日の京都地裁判決を受け、事件に巻き込まれて亡くなったアニメ映画監督で同社役員の武本康弘さん(当時47歳)の父・保夫さん(80)と母・千惠子さん(75)が「どんな判決が出ても、息子は帰ってこない」とやるせない気持ちを語った。2回に分けて伝える。
* * *
同事件の裁判は昨年9月以降、22回の公判が行われたが、「(被告と)顔を合わせたくない。まともに見れない」(千惠子さん)との気持ちもあり、これまでは傍聴しなかった。それでも「判決は直接聞いて康弘君に報告したい」(保夫さん)と2人は小雪の舞う中、京都地方裁判所まで足を運んだ。
裁判所に入るとき、ちょうど被告が護送されてきた。それまでテレビでしか見ていなかった被告の姿を初めて自分の目で見た。「火傷してストレッチに乗せられているところをテレビで見ただけやったからね。その印象があったから、思ったより元気そうに見えた」(保夫さん)。目が合うことはなかった。
法廷では、被告は車いすに乗り、2人の刑務官に付き添われて入ってきた。保夫さんと千惠子さんは遺族のために用意された傍聴席の前から2列目に座った。被告をほぼ真後ろから見る位置。車いすの大きな背もたれで被告の顔はほとんど見えなかったが、火傷の跡と思われる「顔の白いところが見えた」(千惠子さん)という。
* * *
心から謝ったとは思えない
裁判長は主文を後回しにして判決文を朗読した。
千惠子さん「裁判長が事件の経過を話してくださって、最後のほうに被害者のことを話すところがあって、そのときは泣きました。思い出して。裁判員のみなさんも遺族の気持ちをくみ取ってくれたことが伝わってきました」
裁判では犯行に至るまでの被告の歩んできた人生や犯行動機についてもある程度明らかになった。
保夫さんは、被告が父親から虐待を受けていたことなどには「生い立ちが悪すぎた」と同情しつつ、「生きていても、どうせうまくいかない、という自暴自棄になったのか。人生は自分の好き勝手に生きていけるものではないのに」。千惠子さんは「ずっと『京アニに自分の作品を盗まれた』って言ってる。『自分が被害者なんや』っていうことに凝り固まっているんやなぁと。それしか頭にないんやなぁと。裁判で謝ったというけれど、心から謝ったとは思えないんです」
(後編へ続く)
関連サイト:
〈後編〉「心の奥に氷の塊がずっと」
掲載紙面(PDF):
2024年2月3日号(2539号) 1面 (5,287,613byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
* * *
同事件の裁判は昨年9月以降、22回の公判が行われたが、「(被告と)顔を合わせたくない。まともに見れない」(千惠子さん)との気持ちもあり、これまでは傍聴しなかった。それでも「判決は直接聞いて康弘君に報告したい」(保夫さん)と2人は小雪の舞う中、京都地方裁判所まで足を運んだ。
裁判所に入るとき、ちょうど被告が護送されてきた。それまでテレビでしか見ていなかった被告の姿を初めて自分の目で見た。「火傷してストレッチに乗せられているところをテレビで見ただけやったからね。その印象があったから、思ったより元気そうに見えた」(保夫さん)。目が合うことはなかった。
法廷では、被告は車いすに乗り、2人の刑務官に付き添われて入ってきた。保夫さんと千惠子さんは遺族のために用意された傍聴席の前から2列目に座った。被告をほぼ真後ろから見る位置。車いすの大きな背もたれで被告の顔はほとんど見えなかったが、火傷の跡と思われる「顔の白いところが見えた」(千惠子さん)という。
* * *
心から謝ったとは思えない
裁判長は主文を後回しにして判決文を朗読した。
千惠子さん「裁判長が事件の経過を話してくださって、最後のほうに被害者のことを話すところがあって、そのときは泣きました。思い出して。裁判員のみなさんも遺族の気持ちをくみ取ってくれたことが伝わってきました」
裁判では犯行に至るまでの被告の歩んできた人生や犯行動機についてもある程度明らかになった。
保夫さんは、被告が父親から虐待を受けていたことなどには「生い立ちが悪すぎた」と同情しつつ、「生きていても、どうせうまくいかない、という自暴自棄になったのか。人生は自分の好き勝手に生きていけるものではないのに」。千惠子さんは「ずっと『京アニに自分の作品を盗まれた』って言ってる。『自分が被害者なんや』っていうことに凝り固まっているんやなぁと。それしか頭にないんやなぁと。裁判で謝ったというけれど、心から謝ったとは思えないんです」
(後編へ続く)
<前の記事 |
関連サイト:
〈後編〉「心の奥に氷の塊がずっと」
掲載紙面(PDF):
2024年2月3日号(2539号) 1面 (5,287,613byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
いもち病が多発、県西部に注意報 [ 社会 ] 2013年07月30日【寄稿】大塚忠弘さんを偲んで [ 社会 ] 2013年07月27日〈圏域バス〉運賃収入7%弱も本格運行へ [ 社会 ] 2013年07月26日女性最高齢者、106歳で死去 [ 社会 ] 2013年07月26日悪質な「点検商法」が横行 [ 事件・事故 ] 2013年07月24日台湾の大学生が赤穂でホームステイ [ 社会 ] 2013年07月23日トランス故障、停電繰り返す [ 事件・事故 ] 2013年07月22日クレーン付きトラック盗難相次ぐ [ 事件・事故 ] 2013年07月18日「市民の夕べ」露店、暴対で市が直接受付 [ 社会 ] 2013年07月16日うちわ配って投票PR [ 社会 ] 2013年07月14日飲食店で食中毒、8人が腹痛など [ 事件・事故 ] 2013年07月12日積み荷降ろし中に事故死か? [ 事件・事故 ] 2013年07月11日お年寄りら笑顔の交流会 [ 社会 ] 2013年07月10日市議のボーナス 50万円余分に支給 [ 社会 ] 2013年07月10日海保巡視艇で沿岸視察 [ 社会 ] 2013年07月09日
コメントを書く