引きこもりから前進 友人の支えで曲完成
2024年05月11日
統合失調症で小学生のころから自宅に引きこもりがちだった音楽好きの男性が友人たちの支援で作曲に取り組み、短いピアノ曲を完成させた。「暗闇に差し込む光をイメージした」といい、5月19日(日)に中広の赤穂化成ハーモニーホールであるロビーコンサートで発表される。
正保橋町の徳岡郁人さん(32)は中学生のとき、通院先のスタッフが弾くピアノの音色に興味を持った。元々好きだったゲーム音楽などを奏でて楽しむようになり、「ピアノを弾いているときは前向きな気持ちになれる」と音楽が心の拠り所になった。
極度の上がり症で人前に出るのが苦手な徳岡さんにとっての転機は6年前に訪れた。当時姉が務めていた工場に勤務する同僚のNeroさんがハーモニーホールで演奏会を開くというので久しぶりに外出した。Neroさんはその数年前までプロの作曲家として活動した経歴の持ち主。演奏会後、曲作りに関心を示す徳岡さんに「短くてもいいから、できるだけたくさんのフレーズを考えてみて」とアドバイスした。
徳岡さんは自宅の電子ピアノに向かって頭に浮かんだ旋律をいくつも試した。何日もかけて合計30種類近いフレーズを考えてスマホに録音してNeroさんに送信。それらの中からNeroさんが「光るものを感じた」という2つを選び出して即興で伴奏をつけると、短いメロディが曲へと広がっていく可能性を予感させた。
2小節から4小節、4小節から8小節と少しずつ曲を伸ばし、約1年がかりで4分半ほどの楽曲に育てた。さらにNeroさんの編曲によって、まるで映画音楽のような深みのある一曲に。「Immortal Sanctuary(不滅の聖域)」と題名をつけた。
「短いフレーズが曲になってうれしい。満足以上です」と完成を喜ぶ徳岡さん。19日のロビーコンサートは「作曲家達の工夫」と題してNeroさんがプロデュースし、2人の共通の友人で会社員の本林政憲さん(50)=木津=が設営を協力。加西市のピアニスト高濱莉乃さんがベートーヴェン、ドビュッシーなどの名曲を演奏した後、徳岡さんの作品を披露する。曲や題名に込めた思いを徳岡さん自ら説明する予定で、Neroさんは「今回の経験が彼自身の存在意義を確かめる機会になれば」と全面的にサポートする。
1階ロビーで午後3時開演。観覧無料。
掲載紙面(PDF):
2024年5月11日号(2551号) 1面 (6,269,286byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
完成した曲の楽譜を確認する徳岡郁人さん(左)と協力した元作曲家のNeroさん
正保橋町の徳岡郁人さん(32)は中学生のとき、通院先のスタッフが弾くピアノの音色に興味を持った。元々好きだったゲーム音楽などを奏でて楽しむようになり、「ピアノを弾いているときは前向きな気持ちになれる」と音楽が心の拠り所になった。
極度の上がり症で人前に出るのが苦手な徳岡さんにとっての転機は6年前に訪れた。当時姉が務めていた工場に勤務する同僚のNeroさんがハーモニーホールで演奏会を開くというので久しぶりに外出した。Neroさんはその数年前までプロの作曲家として活動した経歴の持ち主。演奏会後、曲作りに関心を示す徳岡さんに「短くてもいいから、できるだけたくさんのフレーズを考えてみて」とアドバイスした。
徳岡さんは自宅の電子ピアノに向かって頭に浮かんだ旋律をいくつも試した。何日もかけて合計30種類近いフレーズを考えてスマホに録音してNeroさんに送信。それらの中からNeroさんが「光るものを感じた」という2つを選び出して即興で伴奏をつけると、短いメロディが曲へと広がっていく可能性を予感させた。
2小節から4小節、4小節から8小節と少しずつ曲を伸ばし、約1年がかりで4分半ほどの楽曲に育てた。さらにNeroさんの編曲によって、まるで映画音楽のような深みのある一曲に。「Immortal Sanctuary(不滅の聖域)」と題名をつけた。
徳岡郁人さんが書いた制作途中の楽譜
「短いフレーズが曲になってうれしい。満足以上です」と完成を喜ぶ徳岡さん。19日のロビーコンサートは「作曲家達の工夫」と題してNeroさんがプロデュースし、2人の共通の友人で会社員の本林政憲さん(50)=木津=が設営を協力。加西市のピアニスト高濱莉乃さんがベートーヴェン、ドビュッシーなどの名曲を演奏した後、徳岡さんの作品を披露する。曲や題名に込めた思いを徳岡さん自ら説明する予定で、Neroさんは「今回の経験が彼自身の存在意義を確かめる機会になれば」と全面的にサポートする。
1階ロビーで午後3時開演。観覧無料。
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2024年5月11日号(2551号) 1面 (6,269,286byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
山鹿素行のお話(1)赤穂城本丸手前の素行先生銅像 [ 文化・歴史 ] 2019年07月06日日本画の山本美佐子さん 西宮市展で最高賞 [ 文化・歴史 ] 2019年07月05日自然の風合い素朴な美 竹細工展 [ 文化・歴史 ] 2019年07月02日日本遺産認定を祝う横断幕 [ 文化・歴史 ] 2019年06月30日ゆかりの篠笛で奏でる有年の情景 早乙女が豊作願い「お田植祭」 [ 文化・歴史 ] 2019年06月16日地元在住・出身者 声楽とピアノ定演 ル・ポン国際音楽祭 9月28日から6公演 日本遺産から「まちの誇り」へ [ 文化・歴史 ] 2019年06月10日国展写真部で初の奨励賞 [ 文化・歴史 ] 2019年06月08日文化講座「歴史研究の謎を探る」 趣味の写真 92歳で初の作品展 [ 文化・歴史 ] 2019年06月07日「赤穂の春夏」テーマに写真展 [ 文化・歴史 ] 2019年05月26日24日から赤穂美術協会展 [ 文化・歴史 ] 2019年05月21日「塩のまち播州赤穂」日本遺産に認定 [ 文化・歴史 ] 2019年05月20日
コメントを書く