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土器に見る「炊飯の歴史」 有年考古館で企画展

 2024年07月20日 
 日本人の主食である「コメ」の調理や炊飯の方法の変化を赤穂市内の遺跡から出土した土器とともに紹介する企画展「ほかほかごはんの考古学―土器からみた炊飯の歴史―」が有年楢原の赤穂市立有年考古館で開催中。土器に残るススやコゲを手がかりに、最新の研究成果にスポットを当てている。

米の調理方法の歩みにスポットを当てた企画展「ほかほかごはんの考古学」


 縄文時代の土器には外側全体にススがつき、内側も全体にやや薄いコゲがみられ、土器全体に火や煙が当たるたき火や囲炉裏のような炉を使って水分量が比較的多い状態で米を煮て食べていたことがうかがえる。弥生時代には水田稲作とともに米を炊く食べ方が伝わると、土器の一部に曲線の吹きこぼれ跡が見られるようになり、米が炊けた後に土器を傾けて余分な湯を捨てる「湯取り法炊飯」が行われたと考えられている。

 続いて古墳時代になるとカマドが出現し、より効率の良い炊飯が可能に。蒸気で食べ物を蒸す「甑(こしき)」と呼ばれる土器も登場する。飛鳥・平安時代を経て中世には庶民にも鉄釜が普及。病気や干ばつに強く収穫量の多い東南アジア原産の「大唐米」(インディカ米に近い品種)が中国経由で伝わり、西日本を中心に広く食べられた。

 今展では塩屋・築田遺跡で出土した縄文時代後期の深鉢や西有年・木ノ目遺跡で見つかった古墳時代中期の甑など約100点を展示。昭和前期の陶製羽釜といった民俗資料も並べ、各時代の調理法を紹介している。

 山中良平学芸員は「それぞれの時代に生きた人々が『おいしいごはん』を食べるために凝らしてきた調理の工夫と変化の長い歴史を感じてもらえれば」と話している。

 9月2日(月)まで午前10時〜午後4時(入館は3時半まで)。火曜休館。TEL49・3488。
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掲載紙面(PDF):
2024年7月20日号(2560号) 1面 (6,075,101byte)
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