市民病院の経営目標達成困難か 止まらない患者減
2024年07月27日
2022年度から年度単位の目標額を定めて経営改善に取り組んでいる赤穂市民病院の23年度決算見込みが示され、約7億5460万円の赤字となる見通しであることがわかった。
経営改善の効果額は約2億8000万円にとどまり、目標に設定している4億3400万円に届かない情勢。病院の試算では24年度以降も目標を達成するのは困難な状況で、市が同病院の経営形態移行を諮問する条件としている「2年連続で経営改善目標未達成」が早くも現実味を帯びてきた。
23日にあった市議会の「市民病院経営改善調査特別委員会」で示された資料によると、23年度に市民病院を利用した患者数の一日平均は入院210人、外来580人で、いずれも前年度(入院237人、外来605人)から減少。目標としていた「入院230人、外来610人」を下回った。診療単価は外来で1万6965円(前年度比4・6%増)と増加したものの、入院は5万7925円(同2・8%減)と減少。病院医業収益は前年度から約13億4300万円減少する決算見込みとなっている。患者数が減少した要因については「コロナ禍後は全国的に患者が減少傾向にある」とした上で、「医師が減少したことが大きい」との見解を述べた。
病院が23年度に行った主な経営改善の取組として、開業医への営業活動の強化や救急車の積極的な受け入れ、適切なベッドコントロールなどを挙げ、それにより紹介状持参の患者数が前年度より増加し、救急車の受け入れ台数は目標とした年間2000台を超えたという。今後は今年3月に策定した「経営強化プラン」に基づいて引き続き経営改善に取り組むとしている。
しかし、人口減少に伴い今後も患者数の減少が想定され、病院の試算では24年度以降も目標額には届かず、プラン最終年度の27年度までの改善額の合計も目標を達成できない見通し。市の一般会計からの繰入金を充当しても毎年6〜10億円規模の赤字となり、26年度には資金不足比率が20%を超過。27年度末には一時借入金の残高が、市が限度額に設定している30億円をオーバーすると予測している。仮に昨年度のように想定よりも患者が減少する事態になれば、さらに収支が悪化することが懸念される。
特別委では議員らから、経営強化プランの見直しや医師、看護師の給与減額、休日・時間外診療の導入などの検討を求める声も上がったが、病院は「経営強化プランを即座に変更する考えはない」「給与の減額は現時点では考えていない。働き方改革の中で変動できる部分は今後検討していきたい」「休日、時間外の診療は難しい」と、いずれも前向きな回答はなかった。
また、「選定療養費(紹介状のない初診患者から7700円)の徴収が患者離れにつながっているのではないか。徴収しなくてもよいように地域医療支援病院の指定を外すか、病床数を200床未満にできないか」との提案に対しては、「現行の病床規模、診療機能などを維持するという市長の強い意思がある。我々職員は一丸となってそれに取り組む」と開設者の意向を尊重する考えを示し、今年4月から市長と病院幹部が病院の財政再建計画などについて月1回協議していることを明かした。
議員から「計画がうまくいかなかったときの責任は市長部局にあるのか」と問い質された溝田康人副市長は「今年4月に病院事業管理者や院長など新体制で経営改善に取り組んでおり、見守りたい。(病院と市長部局が)しっかりと連携して取り組んでいきたい」などと述べるにとどまり、責任の所在を明確にすることを避けた一方、「2年連続で目標達成できなければ(経営形態移行の検討を)諮問することに変わりはない」と従来からの方針を明言した。
掲載紙面(PDF):
2024年7月27日号(2561号) 1面 (12,269,265byte)
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経営改善の効果額は約2億8000万円にとどまり、目標に設定している4億3400万円に届かない情勢。病院の試算では24年度以降も目標を達成するのは困難な状況で、市が同病院の経営形態移行を諮問する条件としている「2年連続で経営改善目標未達成」が早くも現実味を帯びてきた。
23日にあった市議会の「市民病院経営改善調査特別委員会」で示された資料によると、23年度に市民病院を利用した患者数の一日平均は入院210人、外来580人で、いずれも前年度(入院237人、外来605人)から減少。目標としていた「入院230人、外来610人」を下回った。診療単価は外来で1万6965円(前年度比4・6%増)と増加したものの、入院は5万7925円(同2・8%減)と減少。病院医業収益は前年度から約13億4300万円減少する決算見込みとなっている。患者数が減少した要因については「コロナ禍後は全国的に患者が減少傾向にある」とした上で、「医師が減少したことが大きい」との見解を述べた。
病院が23年度に行った主な経営改善の取組として、開業医への営業活動の強化や救急車の積極的な受け入れ、適切なベッドコントロールなどを挙げ、それにより紹介状持参の患者数が前年度より増加し、救急車の受け入れ台数は目標とした年間2000台を超えたという。今後は今年3月に策定した「経営強化プラン」に基づいて引き続き経営改善に取り組むとしている。
しかし、人口減少に伴い今後も患者数の減少が想定され、病院の試算では24年度以降も目標額には届かず、プラン最終年度の27年度までの改善額の合計も目標を達成できない見通し。市の一般会計からの繰入金を充当しても毎年6〜10億円規模の赤字となり、26年度には資金不足比率が20%を超過。27年度末には一時借入金の残高が、市が限度額に設定している30億円をオーバーすると予測している。仮に昨年度のように想定よりも患者が減少する事態になれば、さらに収支が悪化することが懸念される。
特別委では議員らから、経営強化プランの見直しや医師、看護師の給与減額、休日・時間外診療の導入などの検討を求める声も上がったが、病院は「経営強化プランを即座に変更する考えはない」「給与の減額は現時点では考えていない。働き方改革の中で変動できる部分は今後検討していきたい」「休日、時間外の診療は難しい」と、いずれも前向きな回答はなかった。
また、「選定療養費(紹介状のない初診患者から7700円)の徴収が患者離れにつながっているのではないか。徴収しなくてもよいように地域医療支援病院の指定を外すか、病床数を200床未満にできないか」との提案に対しては、「現行の病床規模、診療機能などを維持するという市長の強い意思がある。我々職員は一丸となってそれに取り組む」と開設者の意向を尊重する考えを示し、今年4月から市長と病院幹部が病院の財政再建計画などについて月1回協議していることを明かした。
議員から「計画がうまくいかなかったときの責任は市長部局にあるのか」と問い質された溝田康人副市長は「今年4月に病院事業管理者や院長など新体制で経営改善に取り組んでおり、見守りたい。(病院と市長部局が)しっかりと連携して取り組んでいきたい」などと述べるにとどまり、責任の所在を明確にすることを避けた一方、「2年連続で目標達成できなければ(経営形態移行の検討を)諮問することに変わりはない」と従来からの方針を明言した。
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コメント
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投稿:ちゃんとして 2024年07月28日全体責任では 役職の減給 職員の減給はしないと
どれだけダメなのか1人1人がわかって居ないのでは
市民として納得出来ない 赤字分は税金なんやろ?
26 5
投稿:魔神 2024年07月28日36 0
投稿:市民 2024年07月27日そうではありません。
正しくは、経営改善の目標額を2年連続で達成できない場合は、新たに外部有識者委員会を設け、経営形態の見直しを諮問する、という方針となっています。
なお、「目標額」というのは、10億3500万円の赤字だった2020年度(令和2)から、どれだけ赤字を減らすか、という設定になっています。
例えば、2023年度(令和5)は、赤字額を2020年度よりも4億3400万円減らすことを目標にしていました。つまり、赤字額を6億0100万円以下に抑えれば目標達成ということです。
しかし、決算見込みでは、7億5500万円の赤字になる見通しで、2020年度と比べた改善額は2億8000万円にとどまることが今回明らかになりました。
また、今年度(令和6)の目標額は5億1900万円(=赤字額を5億1600万円以下に抑える)という設定ですが、現状の患者数のままだと、改善額は3億8000万円(=6億5500万円の赤字)になる見通しです。その場合、2年連続で目標達成できないことになり、経営形態の見直しを外部有識者委員会に諮問する、というのが市の方針です。
19 0
投稿:赤穂民報 2024年07月27日2年連続赤字の場合は市立病院としての立場を失うと聞いたのですが、真相はどうなのでしょうか?誰か教えてください。
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投稿:人口減少に歯止めを! 2024年07月27日経営改善できなかった病院長が、引き続き病院事業管理者として1800万円ももらう。
そんな病院の存在意義がわからない。
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投稿:市民63歳 2024年07月27日コメントを書く