《市民病院医療事故多発》「外部検証が必要」指摘スルー
2024年08月31日
赤穂市民病院の脳神経外科手術で2019年から20年にかけて少なくとも8件発生した医療事故をめぐり、院内の医療安全推進室がそのうち6件で外部専門家による検証の必要性を指摘していたことが病院の内部文書でわかった。実際には外部検証は3件しか行われず、同病院の医療安全の機能不全が改めて明らかになったと言える。
赤穂民報は「医療安全推進室検討分」との表記があるA4判15枚の文書を入手。8件の医療事故それぞれについて、発生した経緯や今後の対応などを脳神経外科がまとめた報告書をベースに、同室が疑問点や矛盾点を加筆したものとみられる。
例えば、脳梗塞のカテーテル手術でワイヤーが血管を突き破って手術中止となり、脳死状態となった80代女性患者(当時)の症例では、医師らが「ワイヤー穿孔の発生がやむを得ない当然の結果であり、そもそもこれを事故として取り扱うこと自体がナンセンス」と手術の正当性を主張しているのに対し、同室が「穿孔となり、脳ヘルニアから脳死に至ったことが当然の結果と言えるのか?」と疑問視した上で、「外部専門家による画像の確認および判断が必要」と意見を付している。
外部検証の必要性を指摘した記述は8件中6件で見られるが、病院のこれまでの説明では、実際に外部専門医に検証を依頼したのは3件。あとの3件は外部検証を行わないまま医療過誤(ミス)はなかったと結論付けている。
また、ドリルで頸髄を損傷して首から下が不随になった70代女性患者(当時)の症例に関する文書では、報告書に記載されている医療事故の発生状況と患者側への説明が一致していない点に着目し、「医療事故と認識していたのにも関わらず、患者(家族)への説明および、医療安全推進室への報告をしなかったのは事故を隠蔽したと言う事か?」と隠蔽を疑う記述もあるなど、8件すべてで何らかの疑問や矛盾が指摘されている。
病院がこれまでに開示した資料には、これらの指摘について検証した形跡は見当たらない。病院は医療安全推進室の指摘をどのように取り扱ったのか。また、外部検証が必要とした同室の判断が覆ったのはなぜなのか。病院は赤穂民報の取材に「係争中のため、お答えは差し控えます」と返答。一連の医療事故問題は最初の発生から丸5年が経っても、いまだ全容が解明されていない。
掲載紙面(PDF):
2024年8月31日号(2565号) 1面 (6,150,246byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
外部検証の必要性を指摘している赤穂市民病院の文書=医師名の部分は加工しています
赤穂民報は「医療安全推進室検討分」との表記があるA4判15枚の文書を入手。8件の医療事故それぞれについて、発生した経緯や今後の対応などを脳神経外科がまとめた報告書をベースに、同室が疑問点や矛盾点を加筆したものとみられる。
例えば、脳梗塞のカテーテル手術でワイヤーが血管を突き破って手術中止となり、脳死状態となった80代女性患者(当時)の症例では、医師らが「ワイヤー穿孔の発生がやむを得ない当然の結果であり、そもそもこれを事故として取り扱うこと自体がナンセンス」と手術の正当性を主張しているのに対し、同室が「穿孔となり、脳ヘルニアから脳死に至ったことが当然の結果と言えるのか?」と疑問視した上で、「外部専門家による画像の確認および判断が必要」と意見を付している。
外部検証の必要性を指摘した記述は8件中6件で見られるが、病院のこれまでの説明では、実際に外部専門医に検証を依頼したのは3件。あとの3件は外部検証を行わないまま医療過誤(ミス)はなかったと結論付けている。
また、ドリルで頸髄を損傷して首から下が不随になった70代女性患者(当時)の症例に関する文書では、報告書に記載されている医療事故の発生状況と患者側への説明が一致していない点に着目し、「医療事故と認識していたのにも関わらず、患者(家族)への説明および、医療安全推進室への報告をしなかったのは事故を隠蔽したと言う事か?」と隠蔽を疑う記述もあるなど、8件すべてで何らかの疑問や矛盾が指摘されている。
病院がこれまでに開示した資料には、これらの指摘について検証した形跡は見当たらない。病院は医療安全推進室の指摘をどのように取り扱ったのか。また、外部検証が必要とした同室の判断が覆ったのはなぜなのか。病院は赤穂民報の取材に「係争中のため、お答えは差し控えます」と返答。一連の医療事故問題は最初の発生から丸5年が経っても、いまだ全容が解明されていない。
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2024年8月31日号(2565号) 1面 (6,150,246byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
[ 社会 ]
旅館組合が役員改選 上山浩一会長を再選 [ 社会 ] 2023年05月03日移住希望で赤穂を下見 宿泊費を一部補助 [ 社会 ] 2023年05月03日元消防団副団長の中村裕彦さんら12人に市自治功労者表彰 [ 社会 ] 2023年04月30日「社会担う一員に」新入社員のつどい 全国初の空家活用特区に坂越地区 [ 社会 ] 2023年04月22日「改善点出し、よりよい体制を」住友大阪セメントで消防訓練 [ 社会 ] 2023年04月14日《市民病院医療事故多発》検証委報告書でも真相解明至らず [ 社会 ] 2023年04月08日令和5年の危険業務従事者叙勲 [ 社会 ] 2023年04月08日「屋根瓦がずれている」悪質業者にだまされないで 田中康湧四段に関西棋院新人賞 [ 社会 ] 2023年04月02日通学利用のJR減便 代替バス運賃を実費補助 使用済み紙おむつ 4月から保育所で処分 2022年度末教職員異動〜一般教職員分 [ 社会 ] 2023年04月01日『千種川の生態』LCが刊行続けて50年 [ 社会 ] 2023年04月01日県議選 現職・長岡壮壽氏が無投票6選 [ 社会 ] 2023年03月31日
コメント
28 3
投稿:??? 2024年09月01日コメントを書く