第2波へ備え、後手踏まない準備を
2009年05月30日
外で遊んだ後、手洗いとうがいをする園児=28日、赤穂幼稚園で
* * *
−対策本部設置以降の市の対応を振り返って
「WHOが警戒レベルをフェーズ4に引き上げてすぐに対策本部を設置したことは適切だった。一番苦慮したのは、市民への情報提供」
−赤穂市内の感染者確認の情報は、いつ市に入ったのか
「県関係者から22日午後10時ごろに『感染の疑いが高い』との連絡があった。正式に文書で通知を受けたのは翌23日午前11時。県の正式発表に先立って午前10時半から対策本部会議を開き、対応を協議した」
−巷では感染者が出ていないうちから、学校名やアルバイト先を特定した風評やデマが出回った
「直接には聞いていないが、そうした風評や噂があったことは聞いた。市としては、広報やホームページで『正確な情報に基づき、冷静な対応を』と呼びかけた」
−風評被害を防ぐために、学校名など感染者の情報を公開すべきだ、との声がある
「そうした要望があることは承知している。県は感染者の住所、氏名、学校名などを把握していると思われるが、市には匿名情報しか提供されていない。県は『個人情報は非開示が原則だが、今後は市町から開示の要請があれば必要性を確認した上で、提供することもありうる』としており、市としても対応を考えたい」
−赤穂市はマスクをどれくらい備蓄していたのか
「マスクの必要性については認識が足りず、備蓄していなかった。神戸で感染者が確認されたことを受け、18日から窓口職員がマスクを着用できるように市内の業者から急きょ購入した。備蓄用として17日に発注した2万2000枚分は6月末ごろに納品される見込み。今後は不測の事態に備えて備蓄量を増やしたい」
−他の自治体には、行政が一括購入し、市民に販売するところもある
「赤穂市では今のところ、そのような対応は考えていない。各自で備蓄に努めてほしい」
−市は当初、市としての新型インフルエンザ行動計画を来年度中に策定する予定にしていたが
「今回の事態を受け、市長から早期の策定を指示された。一自治体だけで対応しきれる問題ではないので、県の計画変更の動向を見なければならないが、予想されている感染拡大の第2波が来るまでには策定したい」
−市民に求めることは
「従来と同じ。手洗い、うがいなど各自でできる感染予防をしっかりと行い、正確な情報を得て、冷静に対応していただきたい。市としても正確で迅速な情報提供に努めたい」
* * *
赤穂民報より
国や県が情報を管理している現状では、地元自治体として対応できる範囲はどうしても限られるが、皆無ではない。特に、今回も課題となった市民への情報提供について、市はしっかりとしたガイドラインを作るべきだ。
万一、死者が出るような強毒性ウイルスが出現した場合、社会不安の大きさは今回の比にならない。そのとき、市が把握した感染者の情報をどこまで市民に開示するのか。難しい判断だからこそ、事前に基準を公表しておくべきだろう。
市の担当範囲が限定されているのは、言い換えれば、そこだけに対応を集中できるということ。後手を踏まない準備が求められている。国や県からの指示を待つだけでなく、こちらから要望を出していく気構えがほしい。
■新型インフルエンザをめぐる主な動きと赤穂市の対応
4月28日 WHOが警戒レベルを「フェーズ4」へ引き上げ
赤穂市が対策本部を設置、第1回会合
29日 WHOが警戒レベルを「フェーズ5」へ引き上げ
5月 9日 成田空港で国内初の感染者
第2回赤穂市インフルエンザ対策本部会議
16日 神戸の高校生に初めての国内感染を確認
17日 第3回赤穂市インフルエンザ対策本部会議
赤穂市がマスク2万2000枚発注
18日 第4回赤穂市インフルエンザ対策本部会議
→市内学校、福祉施設の臨時休業を決定
22日 第5回赤穂市インフルエンザ対策本部会議
→市内学校、福祉施設の臨時休業を23日から解除
午後10時ごろ、県関係者から市に「赤穂市で感染者の疑い」
23日 第6回赤穂市インフルエンザ対策本部会議
午前11時、赤穂市内の感染者確認を県が記者発表
午後1時30分ごろ、赤穂市がホームページで患者発生を告知
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掲載紙面(PDF):
2009年5月30日(1849号) 1面 (8,920,813byte)
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