シカから田畑守る柵 延長32キロ整備へ
2010年02月06日
市内各地区で一斉に設置が進んでいる防御柵=上高野地区
県自然環境課野生鳥獣係によると、県下全体のシカの推定生息数は「ここ数年で横ばい、または微減傾向」という。しかし、赤相農業共済事務組合が調べた赤穂市内における水稲・大豆・麦の食害面積は昨年度22ヘクタールで2年前に比べて約7倍。収穫を目前に控えた農作物を食い荒らされるなど、特に専業農家にとって深刻な問題となっている。
防護柵の設置はこれまでも市の補助で行われたが一部区間にとどまり、侵入を完全に防ぐまでは至っていないのが実状。国の補正予算に組み込まれた「農地有効利用支援整備事業補助金」が赤穂市に約1400万円認められ、大規模な対策に乗り出した。
年明けから各地区で農業総代を中心に整備計画を策定。柵を設ける場所の地権者の了承を得たところから順次作業が始まった。
坂越の上高野地区では田畑の四方を高さ約2メートルの金網やネットで囲い込み。さらに千種川沿いにもフェンスを取り付け、川向こうからの来襲にも備える計画を立てた。先月中旬から自治会員らが週3日作業し、これまでにおよそ6割が済んだ。
「農機具の出入りが不便になるが、被害が減るのなら」と自治会長の高田國弘さん(70)。「まるで人間がおりの中で暮らすようになってしまうが仕方がない」と黙々と作業した。
生息数が特に増えてはいないにもかかわらず、食害が増加している要因に、休耕田が増えて里山と田畑との境界があいまいになっていることが挙げられる。人の手が加えられず雑草が茂る耕作放棄地が野生動物の住処になっている場合もあり、農業後継者不足がさらに拍車をかけている。
「10年前にはシカの被害なんて考えられなかった。平成16年に台風が連続襲来した後、一気に増えた気がする」と話すのは高雄地区の農業男性(44)。「森の食料がなくなり、人里に降りてきたまま居着いたのでは」と推測する。
市農林水産課は「抜本的な解決とはいえないが、柵による効果はあると思う。今後の推移を見守り、必要な対策を図りたい」としている。
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2010年2月6日(1881号) 1面 (9,832,664byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
[ 社会 ]
ワクチンCC不正疑惑 「作業実態ない事務局」賃料請求か [ 社会 ] 2024年04月20日不正請求などで就労継続支援事業所の運営法人を行政処分 特殊詐欺被害防いだ「ファミリーマート赤穂東浜店」に署長感謝状 [ 社会 ] 2024年04月18日復元納棺師の笹原留似子さん講演「命大事に輝かせて」 [ 社会 ] 2024年04月17日2自治会に防犯カメラ寄贈 赤穂ロータリークラブ [ 社会 ] 2024年04月16日病院事業管理者 給料5%カットへ 市管理の公園 ごみ箱を原則撤去 [ 社会 ] 2024年04月13日災害リスク時の行動スイッチに「マイ避難カード」 [ 社会 ] 2024年04月06日赤穂市立さくら園 農福連携コンテストでグランプリ 市立図書館の愛称「日本海水赤穂ライブラリー」 [ 社会 ] 2024年04月03日赤穂観光協会が「航路標識協力団体」に 兵庫県下初 2023年度末教職員異動〜一般教職員 [ 社会 ] 2024年04月01日5日にイオンで「春の交通安全運動」出発式 2023年度末教職員異動〜管理職 [ 社会 ] 2024年03月30日2024年春 赤穂市の人事異動 [ 社会 ] 2024年03月27日
コメントを書く