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赤穂ゆかりの新作能が観客魅了

 2010年05月09日 
会場を埋めた観客を魅了した新作能「河勝」
 坂越に残る伝承を基に哲学者・梅原猛氏が書き下ろした新作能「河勝」の赤穂公演が9日、市文化会館大ホールであった。大槻文蔵、梅若玄祥ら当代一流の布陣で固めた舞台に加え、宮内庁式部職元首席楽長の東儀俊美氏による舞楽「採桑老」も披露され、会場を埋めた観客が古典芸能を堪能した。
 坂越には、聖徳太子の重臣で“能楽の祖”といわれる秦河勝が逃れつき、その地で没したとの伝承がある。世阿弥の書「風姿花伝」にもそれを裏付ける記述があり、梅原氏が新作能の題材に据えた。2年前の大阪城薪能で初演され、「河勝ゆかりの地でぜひ上演を」と赤穂公演が実現した。
 時代設定は平成の現代。怨霊に強い関心を抱く者(茂山千之丞)が河勝を祭神とする坂越・大避神社を訪問するところから始まる。流罪となった河勝が亡霊や怨霊(大槻文蔵)となって登場するが、神主の祈誓で聖徳太子(梅若玄祥)が出現し、恨みを捨てて和の世を目指すべきと説く。太子から諭された河勝は坂越の守護神となる−という筋書きで、観客を幽玄の世界へ導いた。
 神主の役名に生浪島堯・大避神社宮司の名前を使い、アイ狂言を船渡御祭の稽古場面とするなど赤穂市民にとって親しみやすく、演技を終えて舞台を去る演者らに大きな拍手が送られた。
 客席最前列に座っていた太子町の主婦、吉田美土里さん(60)は「間近で見ることができ、能の奥深さをたっぷり感じました」。能を初めて鑑賞した尾崎の歯科医師、谷野英之さん(52)は「立ち姿の美しさが印象的。河勝は面から怨霊の恐ろしさがよく出ていた」と振り返った。
 公演に先立ち、梅原氏が「能と河勝」と題して特別講演。赤穂観光大使でもある梅原氏は「忠臣蔵で有名な赤穂に存在するもう一つの隠れた悲劇が河勝。それを広めることができれば私も観光大使として合格点をもらえる」と気さくに話し、客席の笑いを誘った。
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コメント

梅原氏が亡くなられたとのこと。
坂越や大避神社を、世の中に広く紹介、知らしめて頂いた第一人者でした。梅原氏の存在は、赤穂市にとっても、その研究と思想は大きく忘れられない存在になった思います。郷里のため長らくありがとうございました。

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投稿:ひょんの実 2019年01月14日

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