江戸後期、元禄赤穂事件の筆写本
2012年03月03日
大石神社で所蔵が確認された天明2年の筆写本「廣陽大石家秘」
同神社で見つかったのは、表紙に「廣陽大石家秘(こうようおおいしかひ)」と書かれた和綴じ本5冊で、いずれも縦約24センチ、横約17センチ。宮司と権禰宜(ごんねぎ)の飯尾真幸さん(32)らが神社所蔵の古書群から発見した。全6巻のうち第2巻のみ欠けている。第6巻の奥書から、討ち入りから80年後の天明2年(1782)に筆写されたものと判明した。
東大保管の文献は、広島大石家に伝来の「江赤家秘録(ごうせきかひろく)」。瑤泉院の用人、落合与左衛門の著作とされる「家秘抄(かひしょう)」が基と言われている。長矩の勅使饗応役拝命から城明け渡し、討ち入り、切腹など一連の出来事を記述しているだけでなく、脱盟者の書状など他の文献にはない内容も含まれ、事件研究の上で貴重な史料とされている。
「江赤家秘録」が全7巻なのに対し、「廣陽大石家秘」は第2巻と第3巻を一冊にまとめたとみられるが、「全体的な内容は同一とみてよい」(佐藤誠・同社非常勤学芸員)。前者では欠落している文字や単語が記述されている個所もあり、「大石神社本のほうが原書に近い可能性も捨て切れない」(同)という。
同じ内容の筆写本としては、『赤穂義人纂書 補遺』に翻刻が収められている「江赤見聞記(ごうせきけんもんき)」(全7巻)が有名だが、これも現在は行方がわからなくなっている。佐藤学芸員は「今回見つかった文献によって、従来史料との比較が可能になる。相違点を詳しく調べることで、原書の姿を推し測ることにもつながるのでは」と話している。
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2012年3月3日(1982号) 1面 (10,665,528byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
日本社会福祉学会の学術賞に中村剛教授 [ 文化・歴史 ] 2015年09月12日市美術展の作品搬入は9月27日 尾上松之助の忠臣蔵 幻のフィルム発見 [ 文化・歴史 ] 2015年09月09日御崎の米谷さん たつの市美展で市長賞 [ 文化・歴史 ] 2015年09月08日『赤穂の民俗』全11巻を電子化 [ 文化・歴史 ] 2015年09月06日周世の神護寺が老朽化で全壊 女性たちの合同絵画展 [ 文化・歴史 ] 2015年09月01日『うね文芸』節目の150号 [ 文化・歴史 ] 2015年08月31日浦島太郎や桃太郎の心中考察 林鶴雄が描いた「懐かしい風景」 [ 文化・歴史 ] 2015年08月28日有年公民館で音楽のつどい 市民文化祭、短歌・俳句を募集 赤穂の移民が創始「青島の盆踊り」復活 [ 文化・歴史 ] 2015年08月21日23日は新田で「たくみさん」 アマ写真家「日本の滝展」 [ 文化・歴史 ] 2015年08月18日
コメントを書く