休耕地を夫婦で花庭園に再生
2013年04月06日
丑田好子さん(左)の花庭園の春咲きクリスマスローズ。見学は自由だが、花の持ち帰り、ゲートの閉め忘れは厳禁
「お花が好きな方に見てもらえれば、私もうれしい」と観賞自由。人目につかない場所にありながら友人から友人へと口コミで伝わり、知る人ぞ知るスポットになっている。
JR播州赤穂駅北、加里屋の通称「三木山」へ上がる道路から「南無阿弥陀仏」の石碑を目印に右方向へ入り、100メートルほど先の農道の二股を右へ進んだ段畑。昭和50年代初めまでミカン畑だった土地に常緑多年草の春咲きクリスマスローズ(正式名称・レンテンローズ、キンポウゲ科)がおよそ800株植わっている。40〜50センチ間隔で並ぶ花株はワイン色のカップ咲き、白い八重咲きなど色も形も多彩。頭を垂れて咲く姿が可憐で奥ゆかしい。
庭園の主は大町の主婦、丑田好子さん(64)。10年ほど前に友人からもらったピンクの原種を一目見て、その愛らしさにすっかり魅了された。もともと、自宅の温室でランを育てるなど花が大好き。園芸店で買ってきた別の株と交配し、数年後には庭は多種多様な花でいっぱいになった。
「山に植えたら?」。所有するミカン畑の再利用を提案したのは夫の洋二さん(69)だ。鉢植えの置き場に困っている妻をみかねて協力を申し出た。30年以上手つかずだった果樹園は竹やぶで覆われ、土壌はカチコチ。洋二さんが手押し耕うん機をかけ、好子さんも自ら鍬を振るい、切れた根っこを取り除いた。「一日に一坪がやっと」という重労働を夫婦で根気よく続け、今では耕した面積は10アールを超えた。
せっかく植えた株をイノシシに掘り返され、大雨で区画ごと根腐れしたことも。くじけずに、柵を立てて溝を掘り、徐々に株数を増やした。発芽から初花をつけるまで少なくとも3年はかかるため、まだ全体の半分ほどは葉茎だけの状態だが、めったに見られない黒や黄の稀少色も咲き始めた。仮設のあずま屋で椅子に腰掛け、庭を見に来た人とおしゃべりしながら眺めるのが至福のひととき。来週には一部を切花にして地域の高齢者行事におすそわけする。
「畑の草を抜くと、ストレスも一緒になくなります」と話す丑田さん。山で作業するようになってから持病の腰痛も出なくなった。「好きなことで身体を動かすのが健康にいいんでしょうね」。今後も区画を広げ、アジサイやバラなど種類を増やしていくつもり。「いつの季節も何か咲いているお庭。毎晩寝る前に想像するんです」と庭づくりの楽しさを満喫している。
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掲載紙面(PDF):
2013年4月6日(2033号) 1面 (9,716,472byte)
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