「必ず世界獲る」小國が再起決意
2013年05月30日
西川良一トレーナーとの練習で使ったグローブに世界王座獲得を誓う小國以載選手
28日にはジムの主催試合があった後楽園ホールで、スーツ姿でリングに上がり、「一戦一戦勝って、必ず世界を獲ります」と再起を誓った。
「常に張り詰めた空気。ここでやりたい」と自らの希望で選んだ角海老宝石ジム(東京都豊島区)は4月24日現在20人の日本ランカーが在籍。スーパーバンタム級は3位の小國選手の加入によって4人がランキングに名を連ねる。復帰戦は10月ごろになる予定。関係者の話では、「彼の実績とジムの交渉力を考えれば、いきなり世界ランカーと対戦できる可能性は十分ある」という。
4度目の防衛戦となった3月のプロ11戦目で初の黒星。「一度でも負けたら引退すると決めていた」と競技から退く意向を示した。しかし、ボクシングへの情熱を捨てきれず、敗戦から約2週間後にロードワークを再開。4月に帰郷してからはアマ時代から慣れ親しんだ上仮屋北の赤穂ボクシングジムへ通い、復帰に備えた。
引退表明後、支援者やファンから励まされた。「辞めたらあかん」「返り咲ける」と現役続行を望むメッセージがほとんどで、就職先を紹介してくれた人も「本当はリングで戦う姿を見たい」と期待してくれていることを知った。どの声も温かく、「こんなにもたくさんの人に自分は支えられている」と勇気が湧き、「いっぱい迷惑をかけたが、やっぱり自分にはこれしかない」と腹をくくった。
一方、悲しい出来事もあった。ボクシングを始めた中3から指導を受け、全幅の信頼を置いたトレーナーの西川良一さん=三樋町=が4月11日、59歳で急死。その2日前にジムでミット打ちを受けてもらったのが最期の別れとなった。普段は口数の多くない西川さんが「世界や。何がなんでも世界を獲るんや」と、しつこいくらい何度も繰り返し、そばを離れなかったという。
敗戦と失冠、恩師の死、そして移籍。短期間で挫折と苦難を経験した自分自身を「少したくましくなれた気がする」と見つめる。「いつまでも出来るスポーツじゃないことはわかっている。リスクを恐れず攻め込み、必ずこの手でチャンスをつかむ」と気持ちを奮い立たせている。
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掲載紙面(PDF):
2013年6月1日(2040号) 1面 (8,820,239byte)
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[ スポーツ ]
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