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南海地震で被害想定「死者484人」

 2014年06月06日 
南海トラフ巨大地震・津波被害想定【赤穂市分】
 兵庫県が3日に公表した「南海トラフ巨大地震被害想定」で、赤穂市では最悪の場合、「死者484人、建物全壊405棟」と想定された。死者の約93%は「津波からの逃げ遅れ」によるものとされ、津波襲来までに避難を完了できるかどうかが人的被害を大きく左右する結果となった。
 市危機管理担当は「5月に配布した津波ハザードマップの活用と訓練実施を繰り返し呼び掛けていきたい」と話している。
 想定はこれまでの国と県のシミュレーション結果を基に県防災計画課が作成した。▽冬の早朝5時▽夏の昼間12時▽冬の夕方18時−の3パターンで人や建物などの被害を試算。死傷者については津波浸水域にいる人の7割が安全な場所へ避難するとの前提で算出した。
 公表資料によれば、県全体の被害の最大値は▽死者=約2万9100人(うち津波約2万7970人)▽負傷者=約3万6690人▽全壊建物=約3万8500棟▽災害廃棄物=約430万トン▽直接被害額=約5・6兆円。住宅耐震化や家具転倒防止を推進するとともに避難率を100%に引き上げるなど複合的な防災・減災対策を確実に行えば、県全体の死者数は「約400人」に激減できるとの試算も示された。県防災計画課は「揺れが収まったとき、掃除や片付けをするのではなく、すぐに安全な場所へ逃げることを第一に考えてほしい」と訴える。
 市町別の被害想定を見ると、赤穂市で死者数が最悪になるのは「冬の夕方18時」に地震が発生するケース。津波によって「452人」、建物倒壊などで「32人」が命を落とし、死者数は姫路市(435人)を上回り、播磨地域の自治体で最多となった。建物が全壊する原因としては▽地震の揺れ=200棟▽津波=131棟▽液状化=55棟−など。地震当日から翌日にかけての避難者数は4500人前後に上り、その約2割は1週間後の時点でも避難生活を続けている−などと想定されている。
 現在の赤穂市防災計画では、災害時の避難者数を「人口の5%程度」として食料や飲料水の備蓄量を設定しており、「備蓄量を順次増やしていく必要がある」(市危機管理担当)と計画を見直す一方、「地震による液状化にも耐えられるように、防潮堤の強靱化整備を県へ求めていく」と話している。
 県は昨年12月から今年2月にかけて、南海トラフ巨大地震の浸水想定を公表。赤穂市では「震度6弱」の揺れに見舞われ、「約120分後に高さ2・8メートル」の津波が襲来するとしている。
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