赤穂市内の中学校で先月２０日、男性教諭（５４）が１年生男子生徒の授業態度を指導中、頭を十数回平手打ちする体罰を加えていたことが１日までにわかった。市内では１０月にも別の中学校で生徒指導中の体罰が発生。市教委は「再発して申し訳ない。どういう理由や理屈をつけても体罰は許されるものではなく、教員への指導を徹底したい」と話している。
　市教委と関係者の話を総合すると、教諭は４時間目の技術で製図の実習中、教室の床にはい出てきたムカデに騒いでいた生徒数人を注意。席に戻らなかった男子生徒２人を黒板の前に正座させ、一方の生徒に対し、「なんで席立っとんや」「これぐらいのこと、せなわからへんやろ」などと言いながら頭を合計１３回たたいた。教諭は生徒が所属する運動部の顧問。もう一人の生徒には体罰を加えなかったという。
　教諭は授業終了後、校長と学年主任、学級担任に体罰したことを報告。夕方に生徒の保護者へ電話し、「製図をまったく書いておらず、授業態度が悪かったので１０回ほど頭の上をたたいた。申し訳なかった」と説明と謝罪を行った。保護者は「軽くたたいたのだろう」と解釈し、授業態度が悪かったことについて謝ったという。
　しかし、帰宅した生徒本人や級友の話で、注意された２人のうち生徒のみが体罰を受け、思ったよりも強い力で叩かれていたことを知った保護者が指導方法に不審を抱き、翌２１日朝に学校を訪問。校長らとともに対応した教諭は「普段から授業態度を指導していたが、言うことをきかないのできつく叱った。部活動でも関わっており、愛情があるのでたたいた」などと弁解したが、保護者の理解は得られなかった。
　保護者と面会した後、教諭は生徒を応接室に呼び出し、「たたいたことは悪かった」と謝罪。「（同じ学校に在籍する）お姉ちゃんや部活のみんなや君に影響が出るかもしれんけどな」などと発言した。このやりとりを知った保護者はさらに不信感を強め、２２日夕方に体罰後初めて生徒宅を家庭訪問した教諭に対し、「脅迫するようなことを子どもに言っていいのか」と抗議したという。
　教諭は２６日から５日間、市教育研究所と自宅で研修を受け、１日から職場に復帰。学校は市教委と協議の上、当面の間は教諭を部活動の指導から外すことにした。生徒は体罰を受けた後も登校しているが、１日の時点では部活動には参加していないという。
　応接室での教諭の発言について、市教委の平井正彦・教育次長は「教諭は『脅すつもりで言ったのではない』と話している。誤解を解くように努める」と話している。

＜前の記事

次の記事＞

関連サイト：
【関連記事】中学校で生徒指導中に平手打ち


掲載紙面（PDF）：
2014年12月6日（2114号） 4面 (12,898,325byte)
　（PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。）