間違い電話の老人へ善意の米配達
2015年06月27日
一人暮らしのお年寄りから間違い電話で米の配達を頼まれた男性。その男性が取った行動が心温まるエピソードとして話題になっている。
先月下旬、中広の自営業Mさん(61)の携帯電話に公衆電話から着信があった。「お米を5キロお願いします」と聞き覚えのない高齢女性の声。「間違って掛けておられませんか」と質したが、女性は耳が遠いのか、「お米を5キロお願いします」と繰り返すばかり。意思疎通できないまま電話は切れた。
4〜5日後の午後に、再び公衆電話から「お米を5キロお願いします」と電話があった。前回よりも弱々しく、しかも切迫感のある声のトーンから、いたずら電話でないと感じたMさんは、「ずっとご飯を食べていないかも知れない」と市役所に通報した。
「担当者が戻ったら対応します」との返答を受けたものの、「もし、おばあちゃんに万一のことがあったら、最初の電話で対応しなかった自分のせいだ」と責任を背負ったMさんは、電話で聞いた地名と姓を手掛かりに女性宅を住宅地図で探し当て、自宅にあった米10キロ袋を車に積んで家を出た。
「すぐに食べられるものも必要」とコンビニでおにぎり弁当とペットボトルの日本茶を買ってから到着。呼び鈴を押しても応答がなく焦ったが、近所の人から「おばあちゃんは寝ているみたいですよ」と聞き、持ってきた米と弁当、お茶を玄関前に置いて帰った。
夜になって、女性から「寝とって気がつかんかった。お金を払うから取りに来てください」と電話があった。無事だったことに安堵し、「おばあちゃん、ちゃんと食べてね。お金はいいんだよ」と言って電話を切ったものの、何かしら不安を感じ、「もういっぺん見てくる」と、ちょうど妻が夕食に作っていたコーンスープを水筒に入れて、また女性宅へ向かった。
玄関を開けると、女性は廊下に正座して待っていた。何度も感謝の言葉を口にする女性へ、自分はお米屋さんではないと伝えようと筆談を試みたが、女性は状況を飲み込めない様子。仕方なく、「お米がなくなったら、また電話してきてね」と、やさしく声を掛けて別れた。
それから数日後。女性が普段買ったことのないコンビニ弁当の器があることにデイサービスの送迎スタッフが気付き、そこからMさんの親切がわかった。Mさんが経営する会社の電話は、女性が米を注文しようとした業者の番号と数字一つ違いで、携帯電話へ転送される設定だった。女性は自宅に電話がなく、最寄りの公衆電話まで出掛けて米を注文していたという。
女性は80代。6年前に他界した実母を思い出したというMさんは「母には十分なことをしてやれなかったという思いがあります。おばあちゃんには間違いでもいいから、また電話を掛けてきてほしい。米なら持っていくから」と話している。
掲載紙面(PDF):
2015年6月27日(2141号) 4面 (10,734,617byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
先月下旬、中広の自営業Mさん(61)の携帯電話に公衆電話から着信があった。「お米を5キロお願いします」と聞き覚えのない高齢女性の声。「間違って掛けておられませんか」と質したが、女性は耳が遠いのか、「お米を5キロお願いします」と繰り返すばかり。意思疎通できないまま電話は切れた。
4〜5日後の午後に、再び公衆電話から「お米を5キロお願いします」と電話があった。前回よりも弱々しく、しかも切迫感のある声のトーンから、いたずら電話でないと感じたMさんは、「ずっとご飯を食べていないかも知れない」と市役所に通報した。
「担当者が戻ったら対応します」との返答を受けたものの、「もし、おばあちゃんに万一のことがあったら、最初の電話で対応しなかった自分のせいだ」と責任を背負ったMさんは、電話で聞いた地名と姓を手掛かりに女性宅を住宅地図で探し当て、自宅にあった米10キロ袋を車に積んで家を出た。
「すぐに食べられるものも必要」とコンビニでおにぎり弁当とペットボトルの日本茶を買ってから到着。呼び鈴を押しても応答がなく焦ったが、近所の人から「おばあちゃんは寝ているみたいですよ」と聞き、持ってきた米と弁当、お茶を玄関前に置いて帰った。
夜になって、女性から「寝とって気がつかんかった。お金を払うから取りに来てください」と電話があった。無事だったことに安堵し、「おばあちゃん、ちゃんと食べてね。お金はいいんだよ」と言って電話を切ったものの、何かしら不安を感じ、「もういっぺん見てくる」と、ちょうど妻が夕食に作っていたコーンスープを水筒に入れて、また女性宅へ向かった。
玄関を開けると、女性は廊下に正座して待っていた。何度も感謝の言葉を口にする女性へ、自分はお米屋さんではないと伝えようと筆談を試みたが、女性は状況を飲み込めない様子。仕方なく、「お米がなくなったら、また電話してきてね」と、やさしく声を掛けて別れた。
それから数日後。女性が普段買ったことのないコンビニ弁当の器があることにデイサービスの送迎スタッフが気付き、そこからMさんの親切がわかった。Mさんが経営する会社の電話は、女性が米を注文しようとした業者の番号と数字一つ違いで、携帯電話へ転送される設定だった。女性は自宅に電話がなく、最寄りの公衆電話まで出掛けて米を注文していたという。
女性は80代。6年前に他界した実母を思い出したというMさんは「母には十分なことをしてやれなかったという思いがあります。おばあちゃんには間違いでもいいから、また電話を掛けてきてほしい。米なら持っていくから」と話している。
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2015年6月27日(2141号) 4面 (10,734,617byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
[ 街ネタ ]
天国から花の贈り物 [ 街ネタ ] 2011年11月16日洪水に負けず“ど根性スイカ” [ 街ネタ ] 2011年10月29日コスモス畑でかくれんぼ 人間の身勝手で不幸な子ネコ [ 街ネタ ] 2011年10月17日3代続けて晴れの頭人 [ 街ネタ ] 2011年10月16日手作り「のど自慢」500人が声援 “水辺の貴婦人”赤穂に飛来 [ 街ネタ ] 2011年10月08日最後のチェリー“お別れ煙草” 空一面にうずまき状の雲 [ 街ネタ ] 2011年09月23日行方不明犬、無事に飼い主の元へ [ 街ネタ ] 2011年09月08日赤穂で復活の電気自動車がゴールへ 尾崎・田中町に「ど根性メロン」 [ 街ネタ ] 2011年09月03日古希からチャレンジ、念願の囲碁初段 [ 街ネタ ] 2011年08月26日金魚ドロ、犯人はアライグマ [ 街ネタ ] 2011年08月18日迷子のウリ坊、市街地で受難 [ 街ネタ ] 2011年08月10日
コメント
0 0
投稿:涙線 2015年06月29日0 0
投稿:お○○券 2015年06月29日今日は、ほんま気持ちええわ。
0 0
投稿:太陽の黒点 2015年06月28日役所も判断難しいでしょうがこういうことこそ重要な業務ではないですか?
おばあさんが無事でなによりです
0 0
投稿:てんてん 2015年06月27日0 0
投稿:でんでん 2015年06月27日コメントを書く