赤高ナイン熱戦譜(30)「ど真ん中」なのにボール
2015年08月29日
赤高と滝川は前年(昭和28年)秋の県大会準々決勝でも対戦していた。このときも先攻は赤高で、滝川は後攻め。試合は2−2の同点で9回裏を迎えた。
石橋はまだ高校に入学しておらず、マウンドには当時の主戦だった高尾が立っていた。カーブを中心に投球を組み立てていた軟投派右腕の高尾に対し、滝川の各打者はホームベースに覆い被さるように打席に立つ作戦をとってきた。右打者にカーブを投げれば全部デッドボールになるような位置。相手ベンチからは「当たれ!」と露骨に指示する声が飛んでいたという。
木村「高尾はんの球は遅かったからなぁ。当たっても痛うない(笑)」
高尾は相手の術中にはまる形で死球を連発して二死満塁。続く打者にもフルカウントまで粘られた。
「開き直るしかない」という女房役の木村のサインに応じて、高尾は「ど真ん中のストレートを投げた」と言う。バッターが見送り、スリーアウト・チェンジで延長戦−と思った瞬間、主審は「ボール!」とコールした。
押し出しでサヨナラ負け。納得がいかない高尾はグラブを外して地面に叩きつけた。翌日の新聞で「スポーツマンにあるまじき行為」と非難された。
滝川はこの大会で準優勝し、翌春の全国選抜大会の代表校に選ばれた。滝川は赤高ナインにとって因縁の相手となった。(文中敬称略)
掲載紙面(PDF):
2015年8月29日(2150号) 3面 (10,830,156byte)
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石橋はまだ高校に入学しておらず、マウンドには当時の主戦だった高尾が立っていた。カーブを中心に投球を組み立てていた軟投派右腕の高尾に対し、滝川の各打者はホームベースに覆い被さるように打席に立つ作戦をとってきた。右打者にカーブを投げれば全部デッドボールになるような位置。相手ベンチからは「当たれ!」と露骨に指示する声が飛んでいたという。
木村「高尾はんの球は遅かったからなぁ。当たっても痛うない(笑)」
高尾は相手の術中にはまる形で死球を連発して二死満塁。続く打者にもフルカウントまで粘られた。
「開き直るしかない」という女房役の木村のサインに応じて、高尾は「ど真ん中のストレートを投げた」と言う。バッターが見送り、スリーアウト・チェンジで延長戦−と思った瞬間、主審は「ボール!」とコールした。
押し出しでサヨナラ負け。納得がいかない高尾はグラブを外して地面に叩きつけた。翌日の新聞で「スポーツマンにあるまじき行為」と非難された。
滝川はこの大会で準優勝し、翌春の全国選抜大会の代表校に選ばれた。滝川は赤高ナインにとって因縁の相手となった。(文中敬称略)
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