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ウマノスズクサの実 2個同時

 2015年10月03日 
とても珍しいウマノスズクサの実=点線内=を観察する木村繁之さん(右)と橋本光政さん
 「花は咲いても実はつけない」といわれる多年草のウマノスズクサが南野中の木村繁之さん(79)方の庭で2個結実。
 専門家によると、果実の確認例は全国的にも珍しく、「同じ場所で同時に2個も実ったのは聞いたことがない」という。
 果実の形が馬の首にかける鈴に似ていることから名がついたウマノスズクサ。根は虫や蛇の解毒剤に、成熟した果実を乾燥したものは痰や咳を鎮める薬になる。ジャコウアゲハ(アゲハチョウ科)の幼虫が唯一餌とする植物。姫路藩主だった池田家の家紋にちなみ、ジャコウアゲハを「市蝶」とする姫路市では官民挙げて繁殖に取り組んでいる。
 元赤穂市民病院薬局長で兵庫県薬剤師会副会長も務めた木村さんは薬草としてのウマノスズクサに興味を持ち、20年ほど前から市内の自生地で観察を続けてきた。護岸工事や環境の変化でどんどん数が減ってきたため、昨夏に自宅庭の一角に7株を移植した。
 順調に根付いたウマノスズクサは、大人の背丈を超えるほどにつるを高く伸ばし、ハート型の葉っぱを茂らせた。初夏にはラッパのような形をした花が無数に咲き、ジャコウアゲハも卵を産みつけるために飛来。先月3日、第1号となる成虫が羽化した。
 最初に実を見つけたのは妻の興子さん(76)。9月23日夕方、南天の木に巻き付いたつるから、ひょうたんのような形をした緑色のふくらみがぶら下がっているのに気付き、木村さんに知らせた。翌24日には別の株にも1個実っているのを発見。どちらも長さ3センチほどの大きさだ。
 木村さんは種子植物に詳しい元高校校長の橋本光政さん(73)=県教委みどりのヘリテージマネージャー、姫路市田寺東=に連絡。葉と花、そして実の形状や色から「ウマノスズクサに間違いない」と確証をもらった。橋本さんによると、ウマノスズクサの実を確認できた報告例は過去に数例のみ。橋本さん自身も十数年にわたって自宅で栽培を続けているが、「自分の庭では一度も実を確認したことはない」といい、今回の現象を驚いた。
 「このまま実が熟して種を採取できれば、貴重な研究材料になる」と橋本さん。木村さん夫妻は「枯らさないように注意して見守りたい」と話している。
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掲載紙面(PDF):
2015年10月3日(2155号) 1面 (11,863,228byte)
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