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関福大・加藤明先生の「応援します!かしこい子育て・教育・介護」【第19回】

 2015年10月24日 
【いつまでも叱ってくれる先生はいない】
 私は以前ある小学校に14年間勤めていました。長く勤めているというのはそれだけで重みがあるようで、当時私よりも若い先生たちが何かと気を遣っているのが見えるようになりました。私への苦情や不満は、よほどこちらがセンサーを働かせないと察知できません。
 耳の痛いことをずばっと言ってくれる人もいましたが、いつの間にかそのような人もいなくなりました。また、私自身も言われても素直に聞けなくなってきていたようです。
 ただ、運のいいことに私には人生の節目、節目で叱ってくれる先生、師に出会ってきました。ここぞというところで叱られたり、励まされたり、共感して支えてもらったり、まわりの人に支えられて今の自分があるように思います。おかげさまです。
 しかしながら、子ども達は違います。一直線で駆けてきます、ずばっと心の中に入ってきます。これを上手に使えば、耳の痛いことも入ってきます。「先生に言いたいことがあるなら言って」これでは言ってはくれません。子どもなりの遠慮もあるからです。そこで「先生のいいところ、すきなところを3つ」と書かせると、リップサービスのなかに本音が出てきます。さらに「ここがこうなったらもっと好きになるのにというところを3つ」これは効果てきめんです。
 「手を上げているのに当ててくれない、同じ子ばかりあてている」「黒板の字をていねいに書いてほしい」「冗談を言わずに授業をすすめてほしい」等々、耳の痛いことが出てきます。「冗談を言わずに」は、うけていると思っていたのが実はすべっていて苦痛だった子もいたわけで、これは意外で反省させられました。
 家庭でもやってみてください。「お母さんの好きなところはどこ」そして「嫌いなところはどこ」と。少し柔らかく「ここがこうなったらもっと好きになるところはどこ」という聞き方もいいですよ。
 そして、当たっているなと思うところは直していきましょう。でも、ここは譲れないというところは毅然と嫌われても譲らないこと。一人前の人間にするために、しっかり育てなければならないのですから、易きに流れないことも大切です。
 「六十にして耳従う」(論語)とありますが、これは耳をすませ、傾けてまわりの声を聞き、素直に自分の心に問い、自分のあり方を振り返ること。私はこのように解釈しています。(関西福祉大学・学長)
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掲載紙面(PDF):
2015年10月24日(2158号) 4面 (11,814,088byte)
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