4年がかりで亡母の遺句集
2016年06月04日
杉山倭文さんの遺句集『母星』を刊行した長男・武文さん
故人が45年間に及ぶ俳句歴で遺した約5000句の中から468句を厳選。俳人としての歩みがよみがえる一冊となっている。
若くして夫と死別した杉山さんは女手一つで家計を支えた。2児の子育てが落ち着いた42歳のころから知人の勧めで作句を始め、俳句雑誌に投句することが趣味となった。平成5年からは元東京大学総長の有馬朗人氏が主宰する俳句結社「天為」に投句。5年後に同人に推挙された。
平成6年に結成した天為塩屋俳句会で約12年間にわたって講師を務め、一度も休んだことはなかったという。有馬氏を赤穂に招いた句会も2度開催した。
遺句集は、長男の武文さん(71)=大阪市淀川区=が「母が生きた証を残したい」と刊行した。自宅に保管されていた俳句雑誌や日々の作句を書き残した手帳など膨大な中から作品を拾い出し、妻のミユキさん、妹の文代さんと3人で合議して選んだ。
作風の傾向から前中後の3期に分けて作品を収録した。「あるなしの風に揺れ居り雪柳」は初めて雑誌に載った句。『俳句歳時記夏の部』(角川書店)に掲載された「卯の花のなだれ咲きけり一の谷」、地元の風景を詠んだ「色変へぬ松や赤穂の大手道」など。題名は、杉山さんが大好きだったという正岡子規の短歌「たらちねの母がなりたる母星の子を思ふ光我を照せり」から取った。選句に取りかかってから丸4年。命日に当たる5月27日に上梓した。
杉山さんは生前に句集を出版したことはなく、自分史をまとめようとした矢先に病死したという。「母なら、どの句を選ぶだろうと思いをはせながら編集しました。思っていた以上に大変な作業でしたが、母も喜んでくれていると思います」と武文さん。150部印刷して親族や知人に配るといい、インクの匂いがする刷り立ての句集を遺影に手向けた。
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2016年6月4日(2187号) 4面 (11,083,470byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
木津・大工村「秘仏」の姿明らかに [ 文化・歴史 ] 2018年02月17日6中学校合同で吹奏楽コンサート [ 文化・歴史 ] 2018年02月12日「写壇・あすなろ」学生と合同写真展 [ 文化・歴史 ] 2018年02月10日東備西播6中学校が吹奏楽共演 絵はがきに見る義士史跡と忠臣蔵 [ 文化・歴史 ] 2018年02月03日長所伸ばし苦手克服 ふれあい作品展 バイオリン教室 第17期生を募集 「忠臣蔵の恋」脚本家が赤穂で講演 [ 文化・歴史 ] 2018年01月29日「有年物語」ラスト公演で児童熱演 「手づくり郷土賞グランプリ」にノミネート 有年公民館もふるさと講座 [ 文化・歴史 ] 2018年01月26日ふるさと文化講座の受講者募集 姫路市美術展 米谷勝利さんに市教育委員会賞 [ 文化・歴史 ] 2018年01月23日さなぎ観察調査で初の研究例 [ 文化・歴史 ] 2018年01月20日「温もり感じて」昭和のくらし展 [ 文化・歴史 ] 2018年01月12日
コメントを書く