恵比寿面と大黒面 保存会が手作り
2019年03月02日
恵比寿面と大黒面を自分たちの手で完成させた山本俊郎会長と小川剛さん
能面製作経験者の監修を受け、会員の手で面打ちした労作。3月16日(土)に尾崎の宝専寺で完成披露会を催す。
恵比寿舞・大黒舞は七福神の恵比寿と大黒天に扮した舞手が締太鼓の拍子に合わせて舞う「めでた舞」。尾崎地区で江戸中期ごろから伝わるとされ、龍野城主・脇坂家に女中として出仕していた尾崎村出身の女性が殿の前で舞を披露した褒美として恵比寿面を拝領し持ち帰り、後に対として大黒面を製作したとの言い伝えがある。
2つの面は普段は御神体として同寺に祀られており、行事や祝席で舞を披露するとき以外は持ち出すことはできない。そこで、「稽古にも使える面を作ろう」ということに。業者に製作を発注できるだけの費用はないため、山本俊郎会長(75)と若手会員の小川剛さん(28)が自分の手で面を打つことにした。
能面制作歴約10年の大矢根文一さん(78)=清水町=に監修をお願いし、昨年2月から製作を開始した。本面の凹凸を写した型紙を当てながら、少しずつのみを打つ。彫り過ぎると元に戻すことはできないので慎重に手を重ねた。失敗を恐れるあまり、「木を見ているだけで製作時間が終わった日もあった」(小川さん)という。形が整った面に調色した漆を塗って紙やすりをかける作業を繰り返し、最後にひげと眉毛を書き入れた。
「一から十まで難しかった。今まで以上に面を大切にしたいと思った」と小川さん。大矢根さんは「2人ともよく頑張った。作り手の思いがこもった面が出来上がった」と称えた。
「これで本番以外のときも面を着けられるので、首の傾け具合一つで変わる面の表情を確認しながら稽古できる」と山本会長。「芸を磨くことで、平成から次の時代へ伝承する足がかりにしたい」と意気込む。
完成披露会は同寺境内で午前11時〜正午。雨天決行。保存会による演舞を行い、来場者が舞いの型を体験できる場を設ける。来場者に福菓子の進呈あり。Tel090・7101・7462(山本会長)。
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2019年3月2日号(2316号) 1面 (10,873,632byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
手づくり絵本コン 姉弟で受賞 史跡説明板、新たに3カ所設置 [ 文化・歴史 ] 2016年02月26日第8回美術家連合会展、26日から [ 文化・歴史 ] 2016年02月24日児童合唱団 21日に第40回定演 巨匠が手掛けた黒白版画の数々 [ 文化・歴史 ] 2016年02月13日古都の文化財を探訪 交響詩ひめじ合唱コンで最優秀賞 大和文華館長の講演「忠臣蔵の浮世絵」 市民ミュージカル公演へ稽古佳境 嵯峨御流のいけばな社中展 [ 文化・歴史 ] 2016年02月06日邦楽の調べで義士の命日偲ぶ [ 文化・歴史 ] 2016年02月04日「お盆の思い出」絵画コンで優秀賞 播磨の墳墓に見る弥生期の風習 [ 文化・歴史 ] 2016年02月02日赤穂城址の四季写真展 [ 文化・歴史 ] 2016年01月28日赤穂小金管バンド 念願の金賞
コメントを書く