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有年考古館で企画展「戦地からの便り」

 2019年04月22日 
有年考古館で開催中の企画展「戦地からの便り−有年村と戦争−」
 太平洋戦争に出征した兵士が家族に送った軍事郵便を通して戦時中の地域社会と戦争とのかかわりを考える企画展「戦地からの便り−有年村と戦争−」が有年楢原の赤穂市立有年考古館で開かれている。
 1943年(昭和18年)3月に有年村から姫路第54師団に入隊し、終戦2か月前の45年6月にビルマ(現在のミャンマー)でアメーバ赤痢にかかって戦病死した久保良一さん(享年33歳)が出征先から家族へ宛てたはがきを中心に展示している。
 学校の教員だった良一さんは父と妻、6歳だった長男の良道さん(故人)と1歳だった次男の昭臣さん(76)を残して召集された。良道さんは父から届いた便り約40点を2006年に『父と歩んだ六〇年−戦地からの便りに想う−』の題名で一冊の本にまとめ、このほど実物が遺族から同館へ寄贈された。
 今展では、寄贈品の中から約20点を紹介。幼い息子たちへのはがきは「シッカリトベンキョウシテツヨイ子ドモ二ナツテオクレ」「カラダヲダイジ二シテナカヨクシテクダサイ」など大きなカタカナ書きで現地の風景スケッチを添えたものも。「良道のランドセル姿も可愛いことと思ひますが入学後はどうですか」「今日ハ昭臣チヤンノタンジョウ日デス」など我が子の成長に思いをはせた文もあり、父としての愛情が感じられる。
 一方、妻など大人宛てのはがきは小さな文字をぎっしりと書き連ねており、限られた紙幅でできるだけ多くのことを伝えようとした様子がうかがえる。しかし、戦況については「新聞やラヂオでビルマのことはおわかりでしょう」と記す程度。自身の近況についても「御安心下さい。私は元気です」などと無事を伝える記述しかない。検閲を意識して、事実や本心を書くことを避けたとみられるが、それでも現地の地名などが黒く塗りつぶされている。
 市教委の山中良平学芸員(31)は「終戦から70年以上がたち、昭和を過ぎて平成も終わろうとしている時代の節目に改めて戦争について考えてもらえれば」と話している。
 無事の帰還を願って出征者に贈られた出征旗や千人針、戦意高揚に使われた紙芝居といった戦時資料約20点も展示。7月1日(月)まで午前10時〜午後4時、火曜休館。入館無料。Tel49・3488。
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