ジャコウアゲハ地道に観察 報告書第3弾
2020年03月14日
ジャコウアゲハの生態観察について第3報となる調査報告書をまとめた=左から=尼子公一さん、木村繁之さん、山下一之さん
孵化率と羽化率に加え、冬を越したさなぎが成虫になるまでの日数についても初めてレポート。学術的にも価値のある成果といえる。
調査報告書を作成したのは、南野中の木村繁之さん(84)と尼子公一さん(76)=高雄=、山下一之さん(73)=木津=の3人。
元赤穂市民病院薬局長で兵庫県薬剤師会副会長も務めた木村さんは、ジャコウアゲハの幼虫が薬草のウマノスズクサだけを餌とすることに興味を持ち、ウマノスズクサが自生する高雄地区で環境保全に取り組む尼子さんと山下さんに声を掛け、2014年ごろから保護活動を始めた。次第にジャコウアゲハの幼虫を見かけることが多くなり、17年3月から、さなぎが成虫になる確率を一年を通して調査。結果を冊子にまとめて発表したところ、日本蝶類科学学会の北原曜・学術委員長(信州大学名誉教授)から「羽化率や死因を自然状態で1シーズン調べた研究例は初めて。ぜひ学会で発表してほしい内容」と評価された。
北原氏から「ぜひ今後も継続観察を」と励まされた3人は翌年も調査を続行。2年目は観察開始時期を早め、卵から幼虫になる確率も調べた。3年目の今シーズンは、越冬サナギにも調査範囲を拡充。その結果、1年に4回ある産卵のうち3回目後半以降の幼虫がサナギの状態で冬を越すことがわかり、それらの成果をA4判26ページにまとめた。
調査期間中は当番を決めて現地へ出掛け、直径1〜2ミリ程度の卵や体長1センチほどの幼虫を観察する日々を続ける。「大変な苦労と辛抱を重ねた結果、素人ながらそれなりの報告書をまとめられた」と3人。「次は孵化直後の幼虫からサナギになるまでの日数も調べたい」と新たな課題に挑むつもりだ。
調査報告書は高雄公民館、坂越公民館、赤穂市立海洋科学館で見ることができる。
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掲載紙面(PDF):
2020年3月14日号(2363号) 1面 (6,109,476byte)
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