天然アサリから稚貝 完全養殖へ
2020年10月03日
天然アサリの産卵を見守る冨田崇史さん(左)
坂越湾で採集した天然親貝に生ませた幼生を陸上で稚貝に育て、一定の大きさになったところで海へ移して育成する。大粒で身入りも味も良い地元産アサリのブランド化を目指す。
播磨灘沿岸では昭和の終わりごろまでは大量に採れた天然のアサリがその後の環境変化で激減。「天然ものは、ほとんど採れなくなった」(漁業関係者)という。赤穂市漁協では2002年ごろから一部の組合員が他県から仕入れた稚貝を坂越湾で畜養して出荷してきたが、近年は稚貝が高騰して入手困難に。県の水産技術センターから配給される数少ない県産稚貝を分け合っているという。
「それなら、自分たちで稚貝を作ろう」と提案したのが、市内でアサリ養殖の経験が最も長く、漁協のアサリ部会長を務める冨田水産社長の冨田崇史さん(51)。県内で最初にアサリの完全養殖に成功した室津の業者からノウハウを学び、漁協の支援を受けて漁協倉庫の一角にアサリの幼生を育てる畜養室と餌のプランクトンを培養する設備を整えた。
8月に生島周辺で親貝を採集。先月23日、初めて放卵にチャレンジした。受精卵は60〜70ミクロン。今後はエアコンで温度管理された畜養室のタンク内で1か月半〜2か月ほどプランクトンを与え、0・5ミリ程度の稚貝になった段階でメッシュの袋に入れて湾内のいかだに吊す。海に出してからのアサリは「10倍ほどのスピードで成長する」(冨田さん)といい、順調に育てば来年の春にも水揚げが実現できる見込みだ。
成功すれば室津に続いて県下2例目となる。「技術を軌道に乗せて、販路を開くまでは頑張る。まずは地元のおいしいアサリが市内の食卓に上るようにしたい」と冨田さん。今回の取り組みに参画している7業者10人の中には20〜30代の若手も含まれ、「赤穂の新たな水産業にして次の世代に渡したい」と夢を語る。技術指導する県立農林水産技術総合センター・水産技術センターの増田恵一主席研究員は「うまくいかないこともあるかも知れないが、失敗の中から成功の道が見えてくる。繰り返し経験を積み重ねて、あきらめずに頑張ってほしい」とエールを送る。
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2020年10月3日号(2387号) 1面 (8,274,756byte)
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