関福大リレーコラム・「学びほぐす(unlearn)」〜生涯学習を楽しむ
2021年12月23日
「生涯学習」という言葉をご存知でしょうか。人生100年時代と言われる昨今、生涯学習が注目を浴びています。生涯学習とは文字通り、生涯にわたって行う学習活動のことを指します。
学習に「学校で行われるもの」というイメージを持っていると、生涯学習という言葉はピンとこないかもしれません。しかし、私たちは、生涯を通じてより豊かで充実した人生を送るために、学校教育のみならず、文化活動、スポーツ活動、ボランティア活動、趣味など、日々、生涯学習を行っています。自分のやりたいことに積極的に取り組み、自身で「学んだ」と思えることであれば、それは生涯学習であり、人生に生きがいをもたらす活動となるでしょう。
子どもの学習は、たくさんのことを学ぶことで「形をつくっていく(forming)」ものだといわれます。それに対し、おとなの学習では「形を変えていく=変容していく(transforming)」ことが重視されます。
哲学者の鶴見俊輔さんが学生だった頃、ヘレン・ケラーから学んだのは「学びほぐす(unlearn)」ことだといっています。たくさんのことを「学び(learn)」、それらを「学びほぐす(unlearn)」。鶴見さんによると、「学びほぐす」とは、まず、型どおりのセーターを編み、次に、もう一度もとの毛糸にもどしてから、自分の体にあわせて編みなおすことです。
私たちは、これまで積み重ねてきたさまざまな経験や価値観が混じり合った存在です。知らぬ間に物事に対する価値観が固まっていき、「こうあるべきだ」と自分の思考の枠にとらわれてしまうこともあるでしょう。
先行きが不透明な時代にあって、しなやかに、より充実した生活を送るためには、思考の枠を「学びほぐす」ような「形を変えていく=変容していく」学びが求められるのではないでしょうか。新しい挑戦をしてみることは、これまでの自分の固定観念を崩すのに役立ちます。これまでとは違った風景が広がっていることに気づくかもしれません。
この時期は来年へと思いをはせる時期でもあります。来年に向けて、積極的に取り組めることを探してみるのはいかがでしょうか。(教育学部保健教育学科講師・猿山隆子)
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2021年12月18日号(2443号) 3面 (9,650,414byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
[ かしこい子育て ]
関福大リレーコラム・正しく生きるための第三歩〜良い結果を導く行為 2021年04月03日関福大リレーコラム・正しく生きるための第二歩〜義務に適った行為について 2021年02月27日関福大リレーコラム・倫理学への招待〜正しく生きるための第一歩〜 2021年02月07日関福大リレーコラム・食べる=生きる土台(4)正しい箸使用で心豊かに 2021年01月30日関福大リレーコラム・食べる=生きる土台(3)日本の行事食の豊かさにふれる 2021年01月16日関福大リレーコラム・食べる=生きる土台(2)食べ物の好き嫌いからみえること 2020年12月05日関福大リレーコラム・食べる=生きる土台(1)しっかりと噛むことが大切 2020年11月21日関福大リレーコラム・情報モラルは人としての道徳 2020年11月01日関福大リレーコラム・学校と家庭のICT 2020年10月12日関福大リレーコラム・メディアリテラシーが家族を救う 2020年10月03日関福大リレーコラム・子どもにとってスマホはゲーム機―ルールを決めてスマホを健全に使う 2020年09月05日関福大リレーコラム・消し去ってはダメな言葉 2020年08月01日関福大リレーコラム・日本の良さ 2020年04月04日関福大リレーコラム・かしこい人に 2020年03月07日関福大リレーコラム・具体的にほめる 2020年02月07日
コメントを書く