《市民病院医療事故多発》別の手術でもドリルで脊髄損傷「ありえない操作」病院は過誤否定
2022年06月04日
赤穂市民病院の脳神経外科手術で2019年から翌年にかけて相次いだ男性医師(44)=21年8月末で依願退職=による医療事故について、これまで「係争中」を理由に病院が明らかにしていなかった事故の概要が8件分判明した。
病院がドリル操作ミスによる医療過誤を認めた2020年1月の手術より3か月半前に行った別の患者への手術でもドリルで脊髄の硬膜を貫通する医療事故を起こしていたことがわかった。
手術の状況を記録した動画で事故原因を検証した外部有識者は「稚拙で荒いドリル操作につきる」「ありえない操作」などと指摘しているが、病院は「外部有識者の検証を受け検討し、医療過誤ではないと判断した」として過失を否定している。
事故の概要は、医療過誤をめぐる損害賠償訴訟で市側が神戸地裁姫路支部に提出した「医療事故報告書」などの証拠書類によりわかった。それによると、男性医師は2019年10月2日、後縦靭帯骨化症(背骨の中の靱帯が骨に変性する疾患)と診断した75歳(当時)女性の手術を執刀。ドリルで硬膜を損傷し、頸髄損傷と髄液漏出を起こしたとされる。関係者によると、患者の女性は首から下が不随になったまま退院したという。
男性医師は、それから約3か月半後の20年1月22日、今度は腰部脊柱管狭窄の74歳(当時)女性の腰椎を手術中、過ってドリルで一部の神経を切断し、両足と膀胱、直腸に重度の障害を生じさせた(病院が医療過誤を認めたが、患者と家族が病院開設者の赤穂市と男性医師を相手取り係争中)。
今回明らかになった医療事故報告書には75歳女性の手術における医療事故について、「過て(※原文ママ)硬膜を損傷した」「もともと寝たきりのADL(※日常生活動作)であったため家族からの強い責任追及はなかった」などと過失を認めたと受け取れる記述がある。病院が日本脊髄外科学会理事に依頼した外部検証の報告書では「硬膜損傷の原因は、稚拙で荒いドリル操作につきる。非常に荒く、問題が発生しないかヒヤヒヤする」「解剖学的構造を理解していないばかりか、血液や生理的食塩水などによりドリリングしている溝が見えなくなっていてもドリルを突っ込んでいる。本当にありえない操作」などとドリル操作と損傷との因果関係や医師の施術のまずさが強い言葉で指摘されている。
男性医師は2019年7月に脳神経外科の常勤医師として同病院が採用。裁判所に提出された証拠書類によれば、同年9月18日から26日までの9日間で医療事故を立て続けに3件起こし、10月2日と翌年1月22日の医療事故後も手術を任され、3月1日に藤井隆院長(当時)から手術及び侵襲的検査を禁じられるまでにさらに3件の医療事故を起こした。その中には、脳血栓を回収するためのカテーテル手術後に脳死状態に陥った事案や、脳腫瘍の手術後に心停止となって約2か月後に死亡した事案も含まれる。
また、病院は今年3月の記者会見で男性医師がもう3件の医療事故に関わっていたことを明かしているほか、病院関係者によると、手術を禁止された後も手術を執刀して医療事故を起こしたとされる。病院はこれらの医療事故について「係争中のため答えられない」として事実関係を明らかにしていない。
病院がこれまでに医療過誤を認めたのは裁判になっている1件のみで、他の医療事故については「合併症によるもの」「手術後に経過が思わしくなかった。明らかなミスではない」「外部有識者の検証を受け検討し、医療過誤ではないと判断した」などと過失を否定している。
74歳女性患者の家族は、「被害者(75歳女性)の方には大変申し訳ないのですが、遅くともこの時点(2019年10月)で手術禁止にしてくださっていたら、母の事故は確実に回避出来たと思います。そう考えると無念でなりません」と話した。
* * *
医療事故が発生した時系列がわかりにくかったため、記事を編集、加筆しました。紙面に掲載の記事と異なります。(2022年6月4日15時20分)
関連サイト:
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掲載紙面(PDF):
2022年6月4日号(2464号) 1面 (9,638,423byte)
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病院がドリル操作ミスによる医療過誤を認めた2020年1月の手術より3か月半前に行った別の患者への手術でもドリルで脊髄の硬膜を貫通する医療事故を起こしていたことがわかった。
手術の状況を記録した動画で事故原因を検証した外部有識者は「稚拙で荒いドリル操作につきる」「ありえない操作」などと指摘しているが、病院は「外部有識者の検証を受け検討し、医療過誤ではないと判断した」として過失を否定している。
事故の概要は、医療過誤をめぐる損害賠償訴訟で市側が神戸地裁姫路支部に提出した「医療事故報告書」などの証拠書類によりわかった。それによると、男性医師は2019年10月2日、後縦靭帯骨化症(背骨の中の靱帯が骨に変性する疾患)と診断した75歳(当時)女性の手術を執刀。ドリルで硬膜を損傷し、頸髄損傷と髄液漏出を起こしたとされる。関係者によると、患者の女性は首から下が不随になったまま退院したという。
男性医師は、それから約3か月半後の20年1月22日、今度は腰部脊柱管狭窄の74歳(当時)女性の腰椎を手術中、過ってドリルで一部の神経を切断し、両足と膀胱、直腸に重度の障害を生じさせた(病院が医療過誤を認めたが、患者と家族が病院開設者の赤穂市と男性医師を相手取り係争中)。
今回明らかになった医療事故報告書には75歳女性の手術における医療事故について、「過て(※原文ママ)硬膜を損傷した」「もともと寝たきりのADL(※日常生活動作)であったため家族からの強い責任追及はなかった」などと過失を認めたと受け取れる記述がある。病院が日本脊髄外科学会理事に依頼した外部検証の報告書では「硬膜損傷の原因は、稚拙で荒いドリル操作につきる。非常に荒く、問題が発生しないかヒヤヒヤする」「解剖学的構造を理解していないばかりか、血液や生理的食塩水などによりドリリングしている溝が見えなくなっていてもドリルを突っ込んでいる。本当にありえない操作」などとドリル操作と損傷との因果関係や医師の施術のまずさが強い言葉で指摘されている。
男性医師は2019年7月に脳神経外科の常勤医師として同病院が採用。裁判所に提出された証拠書類によれば、同年9月18日から26日までの9日間で医療事故を立て続けに3件起こし、10月2日と翌年1月22日の医療事故後も手術を任され、3月1日に藤井隆院長(当時)から手術及び侵襲的検査を禁じられるまでにさらに3件の医療事故を起こした。その中には、脳血栓を回収するためのカテーテル手術後に脳死状態に陥った事案や、脳腫瘍の手術後に心停止となって約2か月後に死亡した事案も含まれる。
また、病院は今年3月の記者会見で男性医師がもう3件の医療事故に関わっていたことを明かしているほか、病院関係者によると、手術を禁止された後も手術を執刀して医療事故を起こしたとされる。病院はこれらの医療事故について「係争中のため答えられない」として事実関係を明らかにしていない。
病院がこれまでに医療過誤を認めたのは裁判になっている1件のみで、他の医療事故については「合併症によるもの」「手術後に経過が思わしくなかった。明らかなミスではない」「外部有識者の検証を受け検討し、医療過誤ではないと判断した」などと過失を否定している。
74歳女性患者の家族は、「被害者(75歳女性)の方には大変申し訳ないのですが、遅くともこの時点(2019年10月)で手術禁止にしてくださっていたら、母の事故は確実に回避出来たと思います。そう考えると無念でなりません」と話した。
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コメント
こんな病院に毎年何億円も税金を使っていたんだなと愕然としました。
しかもいまだに被害患者に賠償せず裁判で争っているとききました。酷すぎます。
赤穂民報にはとことん追求してほしいです。頑張ってください。
14 1
投稿:がんばれ民報! 2024年11月19日呆れて言葉が出ない。
読み進めるうちに怒りを通り越して笑ってしまった。
亡くなられた方のご冥福をお祈りすると共に、係争中の方々への真摯な対応がされることを祈ります。
27 2
投稿:カルマ 2024年02月12日64 6
投稿:ー 2023年05月16日82 10
投稿:市民 2022年06月04日外部有識者が「稚拙で荒いドリル操作につきる」「ありえない操作」と言ってるのに?
なんぼなんでもありえん!!!
こんなはっきりしたやつでも市民病院は医療過誤を認めんのやね。何でもありやね。恐ろしい。
73 9
投稿:怒りを通り越してあきれた 2022年06月04日コメントを書く