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《西有年産廃》「処分場が出来れば、赤穂か上郡に中間処理施設」

 2022年08月06日 
 東洋開発工業所の友田公一社長(67)は3日、報道陣の取材に応じ、西有年の産業廃棄物最終処分場建設計画が実現した場合、赤穂市内または上郡町内で産業廃棄物の中間処理施設を建設する意向を明らかにした。

 友田社長は、予定地に隣接して関連会社が保有している山林の活用について問われ、「(産廃処分場の)増設はしない」と明言。「山林はできる事業が限られ、今のところ計画はない。中間処理施設を作るにしても、山林に造成して建てても採算が取れない」と産廃関連施設を建設する可能性を否定した。

 その一方、「産廃処分場が出来れば、中間処理施設を考えていかなければならないと思っている」とも言及し、「立地の問題を考えると、上郡町内、赤穂市内にもっと適切な場所があると思う。それは後々考える」と述べた。

 友田社長との主な質疑は次のとおり。

 * * *

ーー「計画反対」が79%だった住民投票の結果をどのように受け止めているか。
 「住民様のご意見に関しては、今までも真摯に耳を傾けてまいりまして、疑問や不安に対して、真摯に向き合ってきました。説明会も開かせていただきました。今後も皆様の疑問や不安に対して真摯に対応していき、丁寧な説明を続けていくというのが当社の立場です」

ーー要望書を受け取った今のタイミングで事業撤退は検討しているか。
 「検討していません」

ーー可能性は?
 「可能性というか、当社からは徹底しない」

ーー許可が出た段階で大栄環境に株式を譲渡して100%子会社になる予定で変わりはないか。
 「変わりはない」

ーー説明会は上郡町内で開いていくということか。
 「そうです。住民様の疑問と不安に対してお答えせよということですので、多くの皆様に参加していただきたいと思いますし、今後も続けてまいります」

ーーそこで施設の安全について説明していくのか。
 「今までも説明会、あるいは地元の方の協議会に参加させていただいて地元の皆さんの疑問や不安を聞きまして、設計の修正を加えてきました。今後も皆さんの疑問や不安に対してお答えするという姿勢に変わりはありません」

ーー説明会は赤穂市でも開くのか。
 「赤穂市で開くことも考えています。過去にも何回か開かせてもらって、今後も赤穂市も含めて、上郡町さんと赤穂市に対して説明していく予定です」

ーー「計画反対」が79%という数字をどう受け止めていますか。多いとか、少ないとか。
 「やっぱり79%というのは非常に多いと思ってます。ですから、その数字は無視できない。それだけの反対があることを肝に銘じて今後活動を続けていきたいと思っています」

ーー重く受け止めている?
 「重く受け止めています。非常に重く受け止めています」

ーーこれだけの反対が出た中で、住民の中から処分場は上郡町に必要なのかという声が出ているが、処分場は必要だと考えているか。
 「必要であるかないかというのは、我々の主観でお答えできるものではないので、それはみなさんが客観的に判断していただくべきものだと思っていますけれども、我々は兵庫県西部にとっては必要なものではないかという信念は持っております」

ーーなぜ必要だと思うか。
 「主観的には、私たち事業をやるものの気持ちとしては、兵庫県の西部に災害廃棄物とかの問題も考えますと必要なものじゃないかという信念を持ってやっています」

ーー撤退する場合、費用的な問題もあると思うが。
 「それはその通りですけども、費用の面は重要な問題ではないと思っています。費用がかかるから徹底しないとかそういう問題ではない」

ーー先ほど説明会の話があったが、具体的な予定は。
 「9月3日に上郡町生涯学習センターで予定している。コロナの状況によっては10月になるかもしれません」

ーー赤穂市内では?
 「赤穂市内も年内には考えております」

ーー県に追加資料を提出する話があったが、その手続きはどうなっているか。
 「追加の資料が今まだ完全に集まっていませんので、集まりましたら、県に事前協議の終了の書類をお渡しして、という段取りです。(追加資料は)複数回出したが、まだ受理されていない」

ーー住民投票の結果について、大栄環境と協議したか。
 「大栄環境さんとの協議ですか。毎日のようにやりとりしている。住民投票の結果については、私が話す前に報道を見てわかっておられた。一応、大栄環境さんからは『今の段階では東洋開発で対応をお願いします』と」

ーーする、しないの判断は大栄環境は関係なくて、東洋開発ですると?
 「そういうことです」

ーー要請書が上郡町から提出されたことについては大栄環境には報告するか。
 「もちろんお伝えします」

ーー住民投票の結果を重く受け止めるということでしたが、それでも決意が揺るがない理由は。
 「理由はいろいろですよ。15年以上もね、事業に携わってますしね。いろんな方の協力も得てますし。播磨地区に最終処分場があれば役に立つ有益な施設になるという信念があるので。いろいろ勉強もやってきましたし、重要な施設ということはやればやるほどわかってくるという思いがありますんで、ぜひ実現させたいなと思っています」

ーー事業に携わっているのは東洋開発と大栄環境以外には?
 「ちょっとそこはごめんなさい」

ーー今の面積で仮に営業したとして、黒字になるのかという指摘がある。増設は考えていないのか。
 「増設は考えていません。試算では赤字にはならない」

ーー「増設はしない」と明言されたが、それは決定事項か。
 「はい。しないです」

ーー現在の計画地の他に、関連会社を含めて土地を所有しているが、それは何に活用するのか。
 「持っている会社も違いますし、会社によって考え方も違いますし。以前はあったんですけど、今は決まっていない。山林はできる事業が限られてますんで。今のところ計画はありません」

ーー何に活用するかは未定だが、少なくとも産業廃棄物の関連施設にはしないということか。
 「そうですね」

ーー最終処分場だけじゃなくて、中間処理施設にもならないか。
 「そうですね。ただ、産廃処分場が出来ましたら、中間処理施設を作るというのは次の課題となります。中間処理施設を考えていかなければならないと思ってるんですけれども、少なくとも今の山林はちょっと適切ではないと思う。それはまた別の場所で考えています」

ーー適切でない理由は?
 「立地の問題ですね。道路も要りますし。そういうことを考えると、上郡町内、赤穂市内にもっと適切な場所があると思うんで。それは後々考えるということ」

ーー以前、説明会で大栄環境の担当者が、中間処理施設を作る考えはあるかと住民から聞かれて、「要望があれば応えていきたい」と答えている。処分場の周りに処理施設を作るとことと思ったが。
 「さっき申し上げたように、処理施設を作るにしても、この山林の中に造成して建てるというのはあまり意味がない。山に作ってもあまり採算が取れないと思います。もう少し平坦で道に近いところでないと」

ーー上郡町か赤穂市内のどこかで適した土地があるだろうと?
 「そうです」

ーー2016年6月に当時上郡町長だった遠山町長と面会した大栄環境の金子社長が「反対があるところには産廃処分場を作らない」と発言したと聞いているが、それは事実か。
 「それは事実なんですけども、『反対がない』という意味は、いわゆる直近の自治会に反対があれば、そこは無理にはしないということで、現在梨ヶ原と落地の自治会と協定書を結んでいるので、そういう意味では、今地元では賛成していただけるという趣旨だと思います」

ーー計画地には赤穂市の西有年地区も含まれている。西有年地区が反対を表明したら、計画を撤退するか。
 「処分場を管理しているのは梨ヶ原自治会で、水も梨ヶ原に流れてくる。地名は西有年だけど、西有年には利害関係がない。一番利害関係があって影響を受けるのは梨ヶ原と落地だと。(金子社長の発言は)そういう意味だと思います」

ーー東洋開発工業所の現在の社員数と資本金は?
 「社員数は私を含めて6人。資本金は1000万円」

ーー2006年の会社設立以来の売上高は?
 「ありません。西有年の産廃処分場計画だけに取り組んでいます」

ーー上郡町の有識者会議では、大栄環境への「名義貸し」と指摘された。
 「当初は東洋開発でやっていく計画でした。地元から『信用できない』などと意見があったので、大栄環境にお世話になることになった。名義貸しには当たらないと思います」

大阪府豊能町にある東洋開発工業所。建物壁面とフェンスには「町の水道屋さん」と書かれた看板があり、別会社との共用とみられる



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関連サイト:
【関連記事】上郡町が事業者に「計画断念」を要請


掲載紙面(PDF):
2022年8月6日号(2472号) 3面 (11,565,029byte)
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