松の廊下刃傷事件ゆかりの裃
2023年04月08日
元禄赤穂事件の発端となった江戸城松の廊下での刃傷事件で、浅野内匠頭を抱き止めた旗本の梶川与惣兵衛が着用していた裃を模造したとされる肩衣と半袴が、東京国立博物館(台東区上野公園)で展示されている。
梶川は刃傷事件のとき留守居番として江戸城に出仕していて現場に居合わせた。浅野が吉良上野介に斬りかかるときに「この間の遺恨覚えたるか」と発したとされるのは、梶川が事件後に記した日記が根拠となっている。日記には「吉良殿を討ち果たせず、さぞさぞ無念だっただろう。思いもかけない急変だったので、とっさに抱き止めたことは仕方がなかった」と浅野への同情や自身の行動を省みる記述もある。
展示品は青色の麻地で単仕立。模様は小桜に微塵の小紋で、背中と両胸の3か所に梶川家の家紋が白く染め残されている。
同館の記録には「元禄十四三月十四日梶川與三兵衞浅野内匠頭長矩ヲ抱キ留メタル節着用セシモノ模造」と記載。作成時期や模造の経緯に関する詳しい記録はないが、同館によれば、千葉県市川市の唱行寺に所蔵される裃を基に同館が模造した可能性がある。同寺には梶川の祖父母の供養塔があり、本人も帰依していたという。
裃は城下に仕える武士が着用する略礼装で、現在のサラリーマンのスーツに相当する。オーダーメードのため、着用する人の体格に合わせて寸法が異なる。同館によれば、展示品の袴の長さから推測される身長は「155〜160センチほど」という。
梶川は刃傷事件の5日後、500石の加増を受けて1200石取りとなった。槍奉行にも取り立てられ、享保8年8月8日に77歳で亡くなるまで生きた。墓は東京都中野区の天徳院にあるが、無縁墓地に置かれているという。
裃は本館5室・6室の「武士の装い―平安〜江戸」で4月23日(日)まで展示されている。
掲載紙面(PDF):
2023年4月8日号(2503号) 2面 (7,704,255byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
「裃 縹麻地微塵小桜小紋 隅取角に二つ菱紋付」=東京国立博物館蔵
梶川は刃傷事件のとき留守居番として江戸城に出仕していて現場に居合わせた。浅野が吉良上野介に斬りかかるときに「この間の遺恨覚えたるか」と発したとされるのは、梶川が事件後に記した日記が根拠となっている。日記には「吉良殿を討ち果たせず、さぞさぞ無念だっただろう。思いもかけない急変だったので、とっさに抱き止めたことは仕方がなかった」と浅野への同情や自身の行動を省みる記述もある。
展示品は青色の麻地で単仕立。模様は小桜に微塵の小紋で、背中と両胸の3か所に梶川家の家紋が白く染め残されている。
同館の記録には「元禄十四三月十四日梶川與三兵衞浅野内匠頭長矩ヲ抱キ留メタル節着用セシモノ模造」と記載。作成時期や模造の経緯に関する詳しい記録はないが、同館によれば、千葉県市川市の唱行寺に所蔵される裃を基に同館が模造した可能性がある。同寺には梶川の祖父母の供養塔があり、本人も帰依していたという。
裃は城下に仕える武士が着用する略礼装で、現在のサラリーマンのスーツに相当する。オーダーメードのため、着用する人の体格に合わせて寸法が異なる。同館によれば、展示品の袴の長さから推測される身長は「155〜160センチほど」という。
梶川は刃傷事件の5日後、500石の加増を受けて1200石取りとなった。槍奉行にも取り立てられ、享保8年8月8日に77歳で亡くなるまで生きた。墓は東京都中野区の天徳院にあるが、無縁墓地に置かれているという。
裃は本館5室・6室の「武士の装い―平安〜江戸」で4月23日(日)まで展示されている。
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2023年4月8日号(2503号) 2面 (7,704,255byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
[ 文化・歴史 ]
獅子舞4保存会が熱い競演 [ 文化・歴史 ] 2019年10月08日山鹿素行のお話(10)素行先生の教えを全うした赤穂義士 [ 文化・歴史 ] 2019年10月05日繊細な色の重なり 和紙ちぎり絵展 [ 文化・歴史 ] 2019年10月02日「目指すは金賞」全日本吹奏楽コンクール [ 文化・歴史 ] 2019年10月01日獅子舞集う伝統文化祭 10月6日開催 ル・ポン国際音楽祭 会場変更で当日券販売 古布や古着リメイク 女性作家二人展 [ 文化・歴史 ] 2019年09月28日講座「渡来人の活躍と地域社会」 山鹿素行のお話(9)赤穂での著作と教育(その二) [ 文化・歴史 ] 2019年09月27日子どもたちが書道体験 「新しい発見を」樫本大進さん会見で抱負 樫本大進さんのCD一堂に 視聴も可 歴博「義士シアター」映像と設備一新 [ 文化・歴史 ] 2019年09月23日山鹿素行のお話(8)赤穂での著作と教育(その一) [ 文化・歴史 ] 2019年09月21日2019市美術展 7部門で65点入賞 [ 文化・歴史 ] 2019年09月17日
コメントを書く