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「起立性調節障害は必ず治る」不登校乗り越え医師に
2024年08月25日
朝起き上がりにくいなどの症状で主に思春期にみられる疾患「起立性調節障害(OD)」をテーマにした講演会が25日、中広の赤穂化成ハーモニーホールであり、自身も高校時代に発症した経験を持つ医師の泉井(いずい)雅史さん(44)=大阪府八尾市=が「学校に行けなかった僕が医者になった話〜起立性調節障害の向こう側に見えた夢〜」と題して語った。
ODは自律神経の働きが悪くなり、起立時に体や脳への血流が低下する病気。朝なかなか起きることができないほか、朝の食欲不振、全身倦怠感などの症状があり、軽症例を含めると中高生の約10%が発症しているとも言われる。ODに対する社会の理解が不十分な故に「怠けている」と誤解されることも多く、「病気や治療について正しい知識と理解を広めたい」と患者の保護者らでつくる「そよ風ひろば」が講演会を企画した。
小児科医として不登校の子どもたち約800人を診察してきた泉井さんによれば、ODの発症メカニズムは一つではなく、そのケースによって治療法が異なる。また、「朝起きづらい」と訴えた患者100人を詳しく検査した結果では、実際にODだったのは約半数で、残りは片頭痛や過敏性腸症候群、過眠症など別の疾患だったという。
近年は飲み薬だけでなく点滴やその他の手法を組み合わせる「オーダーメード治療」も研究が進み、例えば適量の塩分を摂取することで症状が改善したり、慢性上咽頭炎が原因の症例では鼻の奥を綿棒で刺激することで治る場合もあるという。泉井さんは「ODではない患者にODの治療をしても意味がない。本当にODかどうか確かめた上で、原因に応じた治療を行うことが重要」と適切な診察と治療を推奨した。
泉井さんは高校2年のときに朝起きられない状態や頭痛が生じるようになり、遅刻と早退を繰り返して成績が低下。夜遊びや喫煙で生活も乱れた。浪人時代に通った予備校も度重なる遅刻で強制退学となった中、「医者になりたい」という夢を支えに独学して医大に合格したという。
泉井さんは「起立性調節障害は人生を大きく変えてしまう、とても厄介な病気」とする一方、「時間がかかることもあるが、必ず治る病気」と強調。「この病気が生き方を変える契機になる場合もある。大きな困難を乗り越えることで大きな自信にもなる。自分の苦しみを通じて、他人の苦しみを理解できる」と熱弁した。
掲載紙面(PDF):
2024年9月7日号(2566号) 2面 (6,058,114byte)
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ODは自律神経の働きが悪くなり、起立時に体や脳への血流が低下する病気。朝なかなか起きることができないほか、朝の食欲不振、全身倦怠感などの症状があり、軽症例を含めると中高生の約10%が発症しているとも言われる。ODに対する社会の理解が不十分な故に「怠けている」と誤解されることも多く、「病気や治療について正しい知識と理解を広めたい」と患者の保護者らでつくる「そよ風ひろば」が講演会を企画した。
小児科医として不登校の子どもたち約800人を診察してきた泉井さんによれば、ODの発症メカニズムは一つではなく、そのケースによって治療法が異なる。また、「朝起きづらい」と訴えた患者100人を詳しく検査した結果では、実際にODだったのは約半数で、残りは片頭痛や過敏性腸症候群、過眠症など別の疾患だったという。
近年は飲み薬だけでなく点滴やその他の手法を組み合わせる「オーダーメード治療」も研究が進み、例えば適量の塩分を摂取することで症状が改善したり、慢性上咽頭炎が原因の症例では鼻の奥を綿棒で刺激することで治る場合もあるという。泉井さんは「ODではない患者にODの治療をしても意味がない。本当にODかどうか確かめた上で、原因に応じた治療を行うことが重要」と適切な診察と治療を推奨した。
泉井さんは高校2年のときに朝起きられない状態や頭痛が生じるようになり、遅刻と早退を繰り返して成績が低下。夜遊びや喫煙で生活も乱れた。浪人時代に通った予備校も度重なる遅刻で強制退学となった中、「医者になりたい」という夢を支えに独学して医大に合格したという。
泉井さんは「起立性調節障害は人生を大きく変えてしまう、とても厄介な病気」とする一方、「時間がかかることもあるが、必ず治る病気」と強調。「この病気が生き方を変える契機になる場合もある。大きな困難を乗り越えることで大きな自信にもなる。自分の苦しみを通じて、他人の苦しみを理解できる」と熱弁した。
起立性調節障害の治療や対処について自身の経験を交えて講演した泉井雅史さん
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