狙った方向逃さない伐倒プロ集団
2010年03月12日
見事に狙った方向へ倒されたムクの木
「山師」は鉱山技師を指す言葉で使われるが、木々の伐採を行う職人の意味もある。
県下に数えるほどしかいない特殊な職種で、主に巨木や古木の多い社寺の仕事を請け負ってきた。近年は持ち主が手入れしない山林が増え、民家の屋根を直撃しそうな樹木の伐採依頼も増えているという。
2月のある日、有年地区の作業現場にやって来たのは、この道60年の棟梁、道下哲二さん(80)ら職人5人。高さ約17メートルのムク(推定樹齢90年)を民家と道路のない方角に倒してほしい−という依頼内容だ。
作業はまず木にワイヤーをかけることから始まった。倒す方向に立つ樹木2本に滑車を取り付け、ムクとの間にワイヤーを渡していく。ちょうど“あやとり”のような状態になった。一見無造作にかけているようだが、「木のクセ、根が張っている地中の状態など」を考慮した計算ずくの作業。ベテランの山師は一目で算段が頭に浮かぶという。
続いて、ムクの根元にチェーンソーで切り込みを入れる。まず倒す側に「受け口」をカットし、反対側に「追い口」を切る。「内輪車」と呼ばれる特殊な車両でワイヤーを徐々に巻き取ると、追い口の部分から「ピシッ、ピシッ」と甲高い音が鳴り、やがて自重で地面へ倒れた。
「きょうの作業は簡単だった」と職人らを束ねる「ホーンズ企画」の森田稔代表(62)=上郡町中野=。国宝級の建物から数メートルしか離れていない古木の伐採など、シビアな条件下の仕事も無事故でこなしてきた自信を言葉にのぞかせた。
持ち主がわからない土地でも、依頼主に代わって法務局で調査し、地権者に伐採の了解を取り付ける。ケヤキなど高級材だと市場での売却益から手数料を差し引いて返金してくれる。Tel52・2608。
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2010年3月13日(1887号) 3面 (9,614,496byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
メッセージずしり 言葉の石オブジェ [ 街ネタ ] 2020年01月01日
小学生たちお手柄 転倒負傷の独居老人救助 ラジオとコラボ「義士なりきり旅」 [ 街ネタ ] 2019年11月17日
市内で出没のイノシシ射殺 [ 街ネタ ] 2019年10月29日中広一帯にイノシシ出没 またも大物スッポン捕獲 浜市の前田正義さん [ 街ネタ ] 2019年10月04日
「ハートな愛」シラサギ家族3か月の記録 「突然鹿が…」ドライブレコーダーに衝突の瞬間 風にそよぐ「めだかのぼり」 [ 街ネタ ] 2019年04月27日
形そっくりの自然石で「ミニ赤穂富士」 [ 街ネタ ] 2019年04月20日
古民家工房で手織りワークショップ [ 街ネタ ] 2019年03月23日
挿し木で目指す「宮前桜」2世 工事で撤去予定の桜残したい [ 街ネタ ] 2019年02月23日
干支にちなみ「狛猪」写真展 [ 街ネタ ] 2019年02月21日
駅員一同から卒業生へ「贈る言葉」 [ 街ネタ ] 2019年02月20日
コメントを書く