被災学生が遺した「母への感謝」
2011年03月07日
心を込めて熱唱する奥野勝利さん
歌の基になった手紙を書いたのは、故加藤貴光さん(当時21、神戸大2年)。「あなたの優しく温かく大きく、そして強い愛を感じなかったことはありませんでした。〜中略〜あなたの、そしてみんなの希望と期待を無にしないためにも、力の続く限り翔び続けます」と母への感謝や未来への抱負がつづられていた。大学進学のために故郷を離れる加藤さんが、見送りに来た母親のコートのポケットに入れておいたものという。
奥野さんは4年前にインターネットでこの手紙を知った。自分と同年齢が書いた文章に「胸を打たれ、心が震えた」。自然とメロディがあふれ、「気付いたときには出来ていた」という曲は聴く人の心に響き、テレビや新聞でも報じられた。
4日は相生学院高(尾池良一校長)の卒業式に招かれ、校歌などを伴奏。以前に尾池校長から奥野さんの話を聞いていた小川オーナーがコンサートを企画し、約35席ある店内は満席になった。電子ピアノに向かった奥野さんはやわらかな澄んだ声で弾き語った。
友人と3人で来店した御崎の女性(66)は「思いやりの大切さを改めて感じ、心が温かくなりました」と演奏の余韻に浸っていた。
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掲載紙面(PDF):
2011年3月12日(1936号) 4面 (9,959,321byte)
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