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雲火焼ミュージアムが開館

 2011年05月24日 
御崎にオープンした「雲火焼展示館 桃井ミュージアム」と桃井香子さん
 赤穂の地で編み出された“幻の焼き物”の復元に取り組んでいる御崎の陶芸作家、桃井香子(よしこ)さん(68)が自宅横に「雲火焼展示館 桃井ミュージアム」をオープン。24日に関係者約60人を招いて開館式典が開かれた。かつて企業の福利施設だった建物を改装したとあって、瀬戸内海を臨む眺望は絶好。風光明媚な環境の中で郷土の伝統工芸品をじっくりと鑑賞できる。
 雲火焼は加里屋の陶工・大嶋黄谷(おおしま・こうこく、1821―1904)が創出。白色の陶肌に炎と煙が乗り移ったような文様が特徴で、明治10年(1877)の第1回内国勧業博覧会で花紋褒賞を受賞した。その陶法は弟子にも伝えられず、黄谷の没後は陶土、焼成方法とも長く不明の状態が続いたが、昭和54年ごろから塩屋の長棟州彦さん(63)と桃井さんが共同で復元を探求。桃井さんの自宅に設けた窯で試行錯誤を繰り返した末、橙と黒が織りなす夕焼け空のような色調の再現に成功し、平成5年度に「赤穂雲火焼」の名称で「兵庫県伝統工芸品」に指定された。
 展示館は、祖父・健三さんと父・一男さん(いずれも故人)が社長を務めた桃井製網から築約40年の旧厚生寮(鉄筋コンクリート造2階建て)を昨年6月に桃井さんが買い取ってリニューアル。健三さんが収集した黄谷の茶碗、香合など約20点をはじめ黄谷の師・作根弁次郎の作品などを展示する。桃井さんと長棟さんの力作も初期作からコンクール入選作まで約200点陳列。作品を通して、苦心した復元の歩みを垣間みることができる。30人が着席できる食堂、1000坪の庭園、茶室もあり、貸しギャラリー、パーティー会場としての利用も相談に応じる。
 「雲火焼は赤穂の文化遺産。次の世代に伝承するためにも、もっと世に広めたい」と桃井さん。「一度だけでなく、繰り返し来館してほしい」と入館料は無料とし、展示替えや新作発表会を随時行う。「ゆくゆくは体験コーナーを設け、作陶の楽しさも発信できれば」と話している。
 午前10時〜午後4時。火曜休館。一部作品は購入可。TEL56・9933。
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掲載紙面(PDF):
2011年5月28日(1945号) 1面 (9,644,341byte)
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