歴史遺産をモニュメント復元
2013年10月05日
坂越の県民交流広場に完成した「とうろん台」の復元モニュメント
地元に残る資料によると、「とうろん台」は四角く石を積み上げた架台で底辺は一辺約9メートル、高さは約2・7メートルあり、台上に長い柱が立っていた。いつ築かれたかは不明だが、明治のころには実存し、もともと灯籠台だったことから「とうろん台」と呼ばれるようになったと思われる。
当時は神戸海洋気象台から坂越郵便局に入電する気象情報に基づき、「玉」と呼んだ布製の吹き抜きを柱に掲揚。球、円すいといった吹き抜きの形状によって天候や風向きを知らせ、夜間はランプを吊したという。昭和12年ごろにその役目を終え、その後の護岸工事で姿を消した。
地域の歴史遺産として後世に残したいとする地元要望で平成23年に県光都土木事務所が土台を構築。今年度、県の「ふるさとの風景づくり整備事業」の補助を受け、坂越まちづくり連絡協議会(大野重徳会長)が「玉」のレプリカと階段を整備した。地元住民グループ「坂越のまち並みを創る会」(門田守弘会長)も費用負担を協力した。
出来上がったモニュメントは実物のおよそ半分のサイズ。高さ1・5メートルの架台に立つ長さ6メートルのT字型支柱に「玉」を吊り下げることができる。「玉」のレプリカには、「サ」の字をデザインした旧坂越町の町章をあしらった。
気象予報の歴史に詳しい福井市の藤田駿(すすむ)さん(78)=元名古屋気象台観測課長=によると、明治時代には全国各地の測候所に「信号柱」と呼ばれる設備があり、吹き流しや旗などの標識で天気予報や警報を知らせたが、通信技術が発達するにつれてなくなった。信号柱のモニュメントは「全国的にも珍しい」と話す。
今後は夜間にライトアップするための照明器具を整備する予定。気象予報をテーマにした子ども向けイベントの開催計画もあり、「海運で栄えた坂越を象徴するスポットとして、まちの活性化に活用したい」(大野会長)と意欲的だ。
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掲載紙面(PDF):
2013年10月5日(2056号) 1面 (10,976,534byte)
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