海浜公園でカワウの繁殖抑制
2014年03月29日
模造卵に取り替えるなどの方法で行われているカワウの繁殖抑制対策
「フン害や漁業被害を防ぐため」として、模造卵との取り替えやドライアイスによる冷却でひな鳥の孵化を抑止。県自然環境課は「繁殖が落ち着く7月ごろまで継続し、効果を観察したい」としている。
カワウは全身黒褐色の水鳥で在来種。ほぼ一年を通して沿岸部や河川湖沼など同じ場所で生息する。水鳥としては大型で一日約500グラムの魚を捕食する。
環境省のまとめでは、高度経済成長期の埋め立てや環境の変化で昭和46年には3000羽以下まで減少したが近年は回復。平成22年から24年の調査では全国で約6万6800羽が確認された。その一方で漁業被害やフン害による水質汚染などが目立つようになり、16年に鳥類で初めて国の「特定鳥獣保護管理計画技術マニュアル」が策定された。
公園管理事務所によると、同公園では10年ほど前から園内の湖に浮かぶ2つの島でカワウがコロニーを形成。周囲を水で囲まれているため外敵に襲われる危険性が低く、排泄物で土壌が酸化して島の樹林が枯死するほどまでに個体数が急増したという。遊具の汚れや悪臭に対する来園者のクレームも増え、赤穂沖や千種川で魚を捕食する様子に漁業関係者も苦情。昨年6月には赤穂市議会の一般質問でも取り上げられ、県が対策に乗り出した。
県の許可と委託を受けた「公益財団法人兵庫県園芸・公園協会」が今年1月から島へボートで渡り、東側のA島では巣の中の卵を石こう製の模造卵に交換、西側のB島では粒状のドライアイスを卵の下半分が隠れるくらいまで巣の中に散布している。卵を取り除いてしまうと新たに産卵するため、見た目が変わらないようにする狙いがある。
カワウは産卵から孵化まで25〜28日。対策作業は月2回のペースで行い、これまでに4回の作業で合計約500個を模造卵に取り替えた。その結果、全部で365個ある巣(24日現在)に対し、ひな鳥の数はA島ではゼロ、B島では10羽にとどまっている。ドライアイスを使った繁殖抑制は県下初の試みで、模造卵との効果を比較して今後に活かす考えだ。
同協会は、「音で脅かすなどして追い払ったとしても別の場所へ移動して営巣し、かえって拡散させてしまう」と繁殖抑制の意義を説明。「日本野鳥の会」は「適正水準を定めて、保護と管理をうまく組み合わせて取り組むことが大切だ」と指摘している。
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2014年3月29日(2081号) 1面 (9,307,265byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
赤穂署で「術科始め式」署員ら決意新た [ 社会 ] 2024年02月07日京アニ放火殺人事件の判決受け遺族が心境〈後編〉「心の奥に氷の塊がずっと」 京アニ放火殺人事件の判決受け遺族が心境〈前編〉「どんな判決が出ても、息子は帰ってこない」 市民病院が経営強化案「2039年度の黒字化を目標」 [ 社会 ] 2024年01月31日能登地震被災地で医療支援 赤穂中央病院AMAT [ 社会 ] 2024年01月27日赤穂市議会の定数削減方針まとまる 1減の17へ [ 社会 ] 2024年01月27日市民病院PET−CT売却 3300万円で落札 [ 社会 ] 2024年01月27日料金所の強盗想定、山陽道で防犯訓練 [ 社会 ] 2024年01月24日赤穂市老人クラブ連合会 創立60周年祝う [ 社会 ] 2024年01月21日「JR赤穂線の利用促進を」地方創生政策コンテストで優秀賞 能登地震被災地へ緊急消防援助隊 [ 社会 ] 2024年01月15日部隊行進と一斉放水 防火の決意新たに [ 社会 ] 2024年01月14日「瓦がずれてますよ」は真っ赤な嘘 悪質業者に注意 「人生は自分次第」「これからは恩返し」二十歳のつどいで決意や抱負 [ 社会 ] 2024年01月07日能登地震災害義援金 募金箱を市役所と市民会館に設置
コメントを書く