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国芳の忠臣蔵錦絵50枚揃い寄贈

 2014年05月30日 
赤穂観光大使の高松孝育さんから赤穂市へ寄贈された忠臣蔵浮世絵の連作『誠忠義士伝』
 江戸後期の人気浮世絵師、歌川国芳(1797−1861)が討ち入り姿の義士一人一人を描いた錦絵『誠忠義士伝』の連作50枚揃が赤穂市に寄贈され、29日に市長室で贈呈式が行われた。
 忠臣蔵関連の浮世絵1540枚を所蔵する赤穂市のコレクションにも同連作は8枚しかなく、市は「このシリーズが加わることで、質・量ともにさらに充実する」と感謝している。
 寄贈者は豊中市の大手建設会社グループ役員、高松孝育さん(74)。5年前に購入した別荘で週3日は赤穂で過ごす。忠臣蔵の書籍を読むうちに義士への関心が高まり、平成21年度に赤穂観光大使に任命された。錦絵は1年ほど前に東京都内であった古美術品オークションで購入。赤穂市が所蔵していないことを知り、寄贈することにしたという。
 『誠忠義士伝』は弘化4年(1847)に刊行。四十七士に「高野武蔵守師直」「塩谷判官高貞」「早野勘平常世」を加えた50枚で一旦完結した後、続編の予告編として「鹿松諫六家僕塵三郎」が追加された。いずれも縦約36・5センチ、横約25センチの大判で、躍動感あふれる義士絵の上部に略伝を添えた体裁が人気を集めた。錦絵の初版枚数が通常200枚程度だった当時、約8カ月間で8000組を売る大当たりとなり、忠臣蔵を描いた浮世絵の中で最も有名な作品の一つとして知られる。
 今回寄贈された作品群は「塵三郎」以外のすべてが揃っており、市教委によると、国内公的機関で50枚揃いを所蔵しているのは3施設を数えるのみだという。
 贈呈式で豆田正明市長から感謝状を手渡された高松さんは「蔵の中にしまっておくのではなく、できるだけみなさんの目に触れる状態にしてください」と公開展示を要望。市は「保存状態も良好で印刷物やグッズなどさまざまな活用が考えられる。展示を含めて積極的な活用を図っていきたい」と話している。
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掲載紙面(PDF):
2014年5月31日(2089号) 1面 (8,598,568byte)
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