関福大・加藤明先生の「応援します!かしこい子育て・教育・介護」【第17回】
2015年09月19日
【どうしてスカートの丈を短くしてはいけないの】
スカートの丈を短くして登校し、担任から注意を受けた美咲は、ファッションが好きでセンスがいいと友達からも評判のよい子である。校則だから守るべきという母親に「お母さんは古い」と主張し、親子げんかになる。
けんかの後部屋に閉じこもる美咲に「懐かしいものが出てきた」と母親が中学校の卒業アルバムを見せに来た。アルバムの制服を見てデザインが変わっているのに気づく美咲。二人は同じ中学校なのである。制服のデザインを手がけたデザイナーが卒業生であり、母親の知り合いと分かり、ぜひ話がしたいと頼み、電話で話すことになった。美咲は弟子入りをお願いしようと胸をときめかして電話に出た。
「弟子にとるとしたら、どんな人ですか」 「やっぱりセンスがあるかないかがポイントね」
「それはどうやって見分けるのですか」
「中高生なら制服の着こなしで分かるわね。スカートを短くしたり、いろいろ工夫して目立ったりしている生徒がいるでしょう」
美咲は有頂天になった。ボタンや小さなアクセサリーをつけたりして目立たないところにもおしゃれをして、個性のない制服を個性的に着こなしている自信があったからである。しかしながら、ここからが予想外だったのである。
「そういう人はまず問題外ね。ファッションというのは、周りの人へのマナーなのよ。TPOって言うじゃない。自己満足でおしゃれをした気になって周りの人に不快感を与えていることに無神経ではだめ。まわりの人がどのように感じているか、そのことを敏感に感じ取れる能力が本当のセンスなのよ」
これは私がかかわっている中学校の実話をもとにした道徳の資料です。
同じ制服だから仲間意識が芽生える。そしてみんなできちんとさわやかに着こなすことで、仲間意識は本物になるし、学校や会社にもいいイメージをもってもらえる。外面的な個性が出せないから、本当の個性が伸ばせるし、耕すことに専念できる。
服装つまり外見は個性的だが中身は単一の価値観で凝り固まっている集団もあれば、外見は同じでも中身は多様な価値観が集まって切磋琢磨し、手を携えながら共に高まり合う真に豊かな集団もある。私の勤める大学の教職員もそうあってほしいし、そのような学生を育てる学校の風土、校風を協力して構築したいと願っています。(関西福祉大学・学長)
掲載紙面(PDF):
2015年9月19日・第1部(2153号) 3面 (9,714,445byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
スカートの丈を短くして登校し、担任から注意を受けた美咲は、ファッションが好きでセンスがいいと友達からも評判のよい子である。校則だから守るべきという母親に「お母さんは古い」と主張し、親子げんかになる。
けんかの後部屋に閉じこもる美咲に「懐かしいものが出てきた」と母親が中学校の卒業アルバムを見せに来た。アルバムの制服を見てデザインが変わっているのに気づく美咲。二人は同じ中学校なのである。制服のデザインを手がけたデザイナーが卒業生であり、母親の知り合いと分かり、ぜひ話がしたいと頼み、電話で話すことになった。美咲は弟子入りをお願いしようと胸をときめかして電話に出た。
「弟子にとるとしたら、どんな人ですか」 「やっぱりセンスがあるかないかがポイントね」
「それはどうやって見分けるのですか」
「中高生なら制服の着こなしで分かるわね。スカートを短くしたり、いろいろ工夫して目立ったりしている生徒がいるでしょう」
美咲は有頂天になった。ボタンや小さなアクセサリーをつけたりして目立たないところにもおしゃれをして、個性のない制服を個性的に着こなしている自信があったからである。しかしながら、ここからが予想外だったのである。
「そういう人はまず問題外ね。ファッションというのは、周りの人へのマナーなのよ。TPOって言うじゃない。自己満足でおしゃれをした気になって周りの人に不快感を与えていることに無神経ではだめ。まわりの人がどのように感じているか、そのことを敏感に感じ取れる能力が本当のセンスなのよ」
これは私がかかわっている中学校の実話をもとにした道徳の資料です。
同じ制服だから仲間意識が芽生える。そしてみんなできちんとさわやかに着こなすことで、仲間意識は本物になるし、学校や会社にもいいイメージをもってもらえる。外面的な個性が出せないから、本当の個性が伸ばせるし、耕すことに専念できる。
服装つまり外見は個性的だが中身は単一の価値観で凝り固まっている集団もあれば、外見は同じでも中身は多様な価値観が集まって切磋琢磨し、手を携えながら共に高まり合う真に豊かな集団もある。私の勤める大学の教職員もそうあってほしいし、そのような学生を育てる学校の風土、校風を協力して構築したいと願っています。(関西福祉大学・学長)
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2015年9月19日・第1部(2153号) 3面 (9,714,445byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
[ かしこい子育て ]
関福大リレーコラム〜美しい日本語を受け継ぐ! 2024年12月21日関福大リレーコラム〜自分(らしさ)の育ちを支えましょう! 2024年09月07日関福大リレーコラム〜子どものウェルビーイングを高めるために 2024年07月27日関福大リレーコラム〜「生きづらさ」を抱える子どもたち 2024年07月13日関福大リレーコラム・想像する力に支えられるということ 2024年03月30日関福大リレーコラム〜言葉の向こう側 2024年03月23日関福大リレーコラム〜子ども達が楽しく生活するということ 2024年02月16日関福大リレーコラム〜気持ちが合うということ 2024年01月26日関福大リレーコラム〜子どもにとっての遊び 2024年01月01日関福大リレーコラム〜子どもの心の成長への支援〜神出学園と山の学校 2023年12月16日関福大リレーコラム・子どもの近視 2023年10月21日関福大リレーコラム・(1)コロナとマスク 2023年06月10日関福大リレーコラム・死を想うこと 2023年05月13日関福大リレーコラム・幸福に生きる 2023年04月01日関福大リレーコラム・よく生きる 2023年03月04日
コメントを書く