伝統の流下式製塩 現代技術で再現
2017年05月27日
流下式製塩の原理を活用した製塩設備「太陽と風の濃縮塔」
流下式製塩は竹の細枝を組んだ枝条架に海水をかけ、天日と風によって水分を蒸発させて塩分を濃縮させる。昭和47年にイオン交換膜による製塩法が登場するまで主流の方式だった。
同社は「赤穂東浜の伝統製法と思いを込めた塩づくり」を目指し、入浜式や流下式の原理を活かしたプラント開発に2年前から着手。瀬戸内海の水質改善が進んだことも追い風となり、かねてから念願だった地元海域からの取水も導入した。
新プラントは枝条架の役割を果たす設備に独自に開発した技術を採用。屋外タワー上部に据え付けた透明ケース(高さ120センチ、幅と奥行き約71センチ)の中に自転車の車輪スポークのような形状のポリプロピレン製円盤(直径約7センチ)がおよそ2000個入っている。霧状に噴射した海水が円盤に付着し、天日とケース内に送り込む風によって水分を蒸発させる仕組みで、「太陽と風の濃縮塔」と名付けた。
濃縮した海水は隣接建屋に送られ、文献と資料を参考に復元した平釜でゆっくり時間をかけて煮詰める。結晶化した塩をすのこ状の棚に置き余分な苦汁を自然に滴下させる「居出し」の工程も組合時代と同じで、昔ながらの赤穂の塩を製造できるという。原料の海水は精密で微細な膜を用い不純物をろ過。濃縮塔のケースは密閉されており、食品衛生面でも安心安全な工程を実現した。
「伝統製法と現代技術を融合したハイブリッド方式。フードデイフェンスにもこだわった」と同社。「これからも東浜塩業組合時代から受け継がれてきた思いを大切に塩づくりに取り組みたい」と話している。
「赤穂東浜の塩」は一袋(200グラム入り)330円。討ち入り姿の大石内蔵助をパッケージにあしらい、東浜塩田の塩を現代風に再現した名産品として販売する。Tel0120・40・4139(土日祝日を除く午前9時〜午後5時)。
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2017年5月27日(2232号) 1面 (9,872,264byte)
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投稿:地元企業の鏡 2017年05月27日コメントを書く