関西福祉大学リレーコラム「子どもの『食べられた!』を応援する」
2017年08月12日
子どもの成長にとって、栄養は欠かせないものです。今回は、入院している子どもたちの食事についてお話ししようと思います。
入院中の子どもたちは、病状によっては食欲がありません。けれども、食事は病気からの回復を助ける重要なものです。親も看護師も栄養を摂らせたいと願い、あれこれ試みますがうまくいかないことも多いです。
食欲をなくす要因は、身体の具合の悪さ以外にもあります。最も大きい要因は、病室という知らない環境で過ごすことへの戸惑いです。他には、食べ慣れた家庭の味、メニューの違いもあります。
入院当初は、そうした子どもたちの身体と心の状態に配慮し、食事を摂ることが負担に感じないようにします。一口でも食べたことをほめたり、全部食べられなくてもいいのだという安心感をもってもらうことが大事です。一生懸命に食べようとしている子どもに「お芋が食べられたね。頑張ったね。」などと声をかけると、表情がふっと緩むことがあります。
子どもが食事に手を伸ばしたくなる工夫も必要です。子どもはきれいな色、かわいいもの、目先の変わったものに興味を示してくれます。ラップに彩りよくおかずとごはんを乗せ、親指ほどの大きさのおにぎりにしてみます。「わあ、かわいい」「もっと作って」など、これなら食べられると思ってくれたら大成功です。
病院食はともすれば単調になりがちですので、昼食の場所を変えてみたこともありました。こども専門病院に勤務していた当時は、長期入院の子どもも多く、家族とレジャーに出かける経験ができない場合もありました。そこで、季節の良い時期に栄養課の協力を得て、いつもの病院食をお弁当形式にしてもらい、バルコニーや中庭でミニピクニックを計画したこともありました。病室から出られない子どもへの配慮や人手の問題など課題はありましたが、シートの上で家族と一緒にお弁当を食べているときの子どもの笑顔は、身体の内側から輝くようでした。
「食べねばならない食事」では美味しさが半減してしまいます。入院という環境下でも子どもたちに美味しく楽しく食べてもらえる援助を提供したいものです。(竹村淳子・看護学部教授)
* * *
次回からは看護学部の岡本啓子教授のコラムです。引き続きご愛読ください。
掲載紙面(PDF):
2017年8月12日(2242号) 3面 (10,283,825byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
入院中の子どもたちは、病状によっては食欲がありません。けれども、食事は病気からの回復を助ける重要なものです。親も看護師も栄養を摂らせたいと願い、あれこれ試みますがうまくいかないことも多いです。
食欲をなくす要因は、身体の具合の悪さ以外にもあります。最も大きい要因は、病室という知らない環境で過ごすことへの戸惑いです。他には、食べ慣れた家庭の味、メニューの違いもあります。
入院当初は、そうした子どもたちの身体と心の状態に配慮し、食事を摂ることが負担に感じないようにします。一口でも食べたことをほめたり、全部食べられなくてもいいのだという安心感をもってもらうことが大事です。一生懸命に食べようとしている子どもに「お芋が食べられたね。頑張ったね。」などと声をかけると、表情がふっと緩むことがあります。
子どもが食事に手を伸ばしたくなる工夫も必要です。子どもはきれいな色、かわいいもの、目先の変わったものに興味を示してくれます。ラップに彩りよくおかずとごはんを乗せ、親指ほどの大きさのおにぎりにしてみます。「わあ、かわいい」「もっと作って」など、これなら食べられると思ってくれたら大成功です。
病院食はともすれば単調になりがちですので、昼食の場所を変えてみたこともありました。こども専門病院に勤務していた当時は、長期入院の子どもも多く、家族とレジャーに出かける経験ができない場合もありました。そこで、季節の良い時期に栄養課の協力を得て、いつもの病院食をお弁当形式にしてもらい、バルコニーや中庭でミニピクニックを計画したこともありました。病室から出られない子どもへの配慮や人手の問題など課題はありましたが、シートの上で家族と一緒にお弁当を食べているときの子どもの笑顔は、身体の内側から輝くようでした。
「食べねばならない食事」では美味しさが半減してしまいます。入院という環境下でも子どもたちに美味しく楽しく食べてもらえる援助を提供したいものです。(竹村淳子・看護学部教授)
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次回からは看護学部の岡本啓子教授のコラムです。引き続きご愛読ください。
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2017年8月12日(2242号) 3面 (10,283,825byte)
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