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赤穂の昔話・第9話「仲のよい三つの岩」

 2020年01月01日 
 
 昔むかし、塩屋のお話です。塩屋の大林に「お鐘石」という大きな岩がありました。
 近くの尾形には牛の形をした大きな岩があり、村人はこの石を「牛岩」と呼んでいました。そして、牛岩の上に「おんびき岩」がありました。おんびきとはガマガエルのことです。
 「お鐘石」と「牛岩」と「おんびき岩」は大そう仲がよく、毎年正月の三日には一緒に遊ぶことに決めていました。
 ある年のことです。三つの岩は一年ぶりにであいました。お鐘石が「ゴーン」というと、すかさず「モー」と牛岩が答え、おんびき岩が「グウェ」と喜んで大きな声を出します。それからは大変です。
 「ゴーン、ゴーン」
 「モー、モー」
 「グウェ、グウェ」
と、朝から晩までおしゃべりです。
 村人も、最初は楽しんで聞いていましたが、やすむ時がなく一日じゅうつづくと、辛抱できなくなってきました。「やめろ、やめろ」、「静かにしろ」といっても、三つの岩はいっこうに静かになりません。
 ついに我慢できなくなった村人は、はいていた草履をお鐘石、つづいて牛岩、おんびき岩に投げつけました。
 今まで「ゴーン、ゴーン」、「モー、モー」、「グウェ、グウェ」とないていた三つの岩は、それからはなかなくなったということです。(赤穂市教育委員会刊『赤穂の昔話 第一集』・「仲のよい三つの岩」より)=切り絵・村杉創夢
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掲載紙面(PDF):
2020年1月1日号・第2部(2354号) 2面 (5,585,747byte)
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