赤穂の昔話・第14話「鹿久居島」
2020年04月11日
平家の権勢が盛んな時代のことです。平清盛が、父の忠盛に、
「瀬戸内海の島に、平家の守護の神社を建てたいと思いますので、どこか適当な島をお教えください」
と、頼みました。
忠盛は瀬戸内海の海賊を討伐して捕らえ、組織化に成功した大将で、瀬戸内海に詳しい武将でした。
忠盛は、
「神社の建立には条件がある。一つは島の周囲が七里(約28キロメートル)あること、二つめは谷が千谷あること、三つめは野生の鹿が生息していること」
と言いました。
一行は大阪を船出し、島々をまわり、西へ西へとやって来ました。そして、鹿久居島を見つけ、部下に命じて調べさせました。
野生の鹿は生息しているのですが、島の周囲を測ると七里には雀の三転がり半足りません。また、谷の数は九百九十九で一つ足りません。三つの条件のうち二つが足りず、一行は鹿久居島をあきらめて西へ下って行きました。そして、三つとも条件のそろった宮島を見つけたのです。
清盛は宮島で推古天皇のころより祀られていた厳島神社の修復を命じ、平家の氏神としました。
もし、鹿久居島が三つの条件にかなっていれば、福浦の沖に平家一門の壮麗なお宮が建っていたでしょう。(赤穂市教育委員会刊『赤穂の昔話 第一集』・「鹿久居島」より)
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2020年4月11日号(2367号) 2面 (4,287,676byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
[ 赤穂の昔話 ]
「昔話末永く語り継いで」切り絵作家・村杉創夢さん 2022年10月30日赤穂の昔話・第38話「尼子山落城」 2022年10月29日赤穂の昔話・第37話「きんこん坊主」 2022年07月16日赤穂の昔話・第36話「横谷の八畳敷き」 2022年05月21日赤穂の昔話・第35話「大蛇と入電池」 2022年04月29日赤穂の昔話・第34話「竹筒で塩を作る人を見た」 2022年03月19日赤穂の昔話・第33話「ととまの地蔵」(下) 2022年03月12日赤穂の昔話・第33話「ととまの地蔵」(上) 2022年02月12日赤穂の昔話・第32話「枯れ尾花」 2022年01月29日赤穂の昔話・第31話「東海山の観音様」(下) 2021年11月27日赤穂の昔話・第31話「東海山の観音様」(上) 2021年11月11日赤穂の昔話・第30話「とんぼ塚」 2021年10月30日赤穂の昔話・第29話「妙道寺の阿弥陀さま」 2021年08月28日赤穂の昔話・第28話「猫岩の狐」 2021年07月31日赤穂の昔話・第27話「蛸の足うまいか」 2021年07月17日
コメントを書く