関福大リレーコラム・活動にある学習4〜水彩画編〜
2022年07月15日
今回は「水彩画」による学習について考えてみたいと思います。
絵は基本的には「心のままに」と言われますが、特に水彩画は心のままに道具を使うと残念な出来栄えになってしまいがちです。私は幼少期に水彩画を描きに自転車で出かけることがありましたが、描きたい思いとは裏腹に、がっかりして帰ることが多々ありました。
水彩画は、はじめに使い方を知って順序立てて描く練習を要します。色を重ねたりにじませたり、乾き具合の調整ができるようになることが絵の具を使いこなすことの技能となります。この技能を「描きたいイメージにいかに活かすか」ということになります。いわばプログラミング的思考。プログラミング的思考とは、その物事の動作や順序を理解し、効率的に意図した動作や結果を導くために論理的に考える力のことです。意外に思われるかもですが水彩画はこうした計画性を必要とします。
とは言え実際は、白い画用紙に地平線を引き、空の色を水で溶いて筆でスーッと塗っていく心地よさ。途中でかすれて白い画用紙がのぞくと、雲として活かすことができると考える。水を足して塗ると薄くなり、心が澄むグラデーションの空に。海のいろは空の色? 本当かなとじっくり色に見入る。水面には風や波が変化を与えていてこの感じは筆跡で出せるかな、などと考える。その場その瞬間の気づき、見方、考え方がどんどん自分の中に増えていくといった面白さもあります。直感に従い手先がどんどん動くようになっていきます。
経験を積んでいくと、作りたい色をパレットの汚れた色を混ぜてすぐに作ることができるようになり、直観力は向上していきます。それはとても不思議な感覚です。
このように、水彩画はイメージ(目標)に向かい計画性と直観力を行き来しながら形にしていくので、自分で手ごたえを得ていく学習になります。
自分を開拓していく面白さは水彩画でも見出すことは出来そうです。いつか機会があれば、やってみたい方ぜひご一緒に。(教育学部児童教育学科講師・金子美里)
* * *
次回からは尼子尚公・教職センター教授が担当します。
掲載紙面(PDF):
2022年7月16日号(2470号) 3面 (10,721,393byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
絵は基本的には「心のままに」と言われますが、特に水彩画は心のままに道具を使うと残念な出来栄えになってしまいがちです。私は幼少期に水彩画を描きに自転車で出かけることがありましたが、描きたい思いとは裏腹に、がっかりして帰ることが多々ありました。
水彩画は、はじめに使い方を知って順序立てて描く練習を要します。色を重ねたりにじませたり、乾き具合の調整ができるようになることが絵の具を使いこなすことの技能となります。この技能を「描きたいイメージにいかに活かすか」ということになります。いわばプログラミング的思考。プログラミング的思考とは、その物事の動作や順序を理解し、効率的に意図した動作や結果を導くために論理的に考える力のことです。意外に思われるかもですが水彩画はこうした計画性を必要とします。
とは言え実際は、白い画用紙に地平線を引き、空の色を水で溶いて筆でスーッと塗っていく心地よさ。途中でかすれて白い画用紙がのぞくと、雲として活かすことができると考える。水を足して塗ると薄くなり、心が澄むグラデーションの空に。海のいろは空の色? 本当かなとじっくり色に見入る。水面には風や波が変化を与えていてこの感じは筆跡で出せるかな、などと考える。その場その瞬間の気づき、見方、考え方がどんどん自分の中に増えていくといった面白さもあります。直感に従い手先がどんどん動くようになっていきます。
経験を積んでいくと、作りたい色をパレットの汚れた色を混ぜてすぐに作ることができるようになり、直観力は向上していきます。それはとても不思議な感覚です。
このように、水彩画はイメージ(目標)に向かい計画性と直観力を行き来しながら形にしていくので、自分で手ごたえを得ていく学習になります。
自分を開拓していく面白さは水彩画でも見出すことは出来そうです。いつか機会があれば、やってみたい方ぜひご一緒に。(教育学部児童教育学科講師・金子美里)
* * *
次回からは尼子尚公・教職センター教授が担当します。
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2022年7月16日号(2470号) 3面 (10,721,393byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
[ かしこい子育て ]
関福大リレーコラム・正しく生きるための第三歩〜良い結果を導く行為 2021年04月03日関福大リレーコラム・正しく生きるための第二歩〜義務に適った行為について 2021年02月27日関福大リレーコラム・倫理学への招待〜正しく生きるための第一歩〜 2021年02月07日関福大リレーコラム・食べる=生きる土台(4)正しい箸使用で心豊かに 2021年01月30日関福大リレーコラム・食べる=生きる土台(3)日本の行事食の豊かさにふれる 2021年01月16日関福大リレーコラム・食べる=生きる土台(2)食べ物の好き嫌いからみえること 2020年12月05日関福大リレーコラム・食べる=生きる土台(1)しっかりと噛むことが大切 2020年11月21日関福大リレーコラム・情報モラルは人としての道徳 2020年11月01日関福大リレーコラム・学校と家庭のICT 2020年10月12日関福大リレーコラム・メディアリテラシーが家族を救う 2020年10月03日関福大リレーコラム・子どもにとってスマホはゲーム機―ルールを決めてスマホを健全に使う 2020年09月05日関福大リレーコラム・消し去ってはダメな言葉 2020年08月01日関福大リレーコラム・日本の良さ 2020年04月04日関福大リレーコラム・かしこい人に 2020年03月07日関福大リレーコラム・具体的にほめる 2020年02月07日
コメントを書く