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関福大リレーコラム・知・徳・体の調和のとれた子育てを

 2022年11月05日 
 「知育・徳育・体育(H・スペンサー英1861)は、人が成長する過程で3つの育みが重要である」としました。日本でも明治5年(1872)に学制が発布されて以来、重要な項目の一つです。


 徳育は『社会(国や時代)が理想とする人間像を目指して行われる人格形成』の営みであり(中略)知・徳・体の調和ある人格の完成を目指す教育の根幹を担う(文科省)としており、これまでのコラムでも触れてきました。

 次に知育といえば、『頭が良い』ことと考えます。『頭の良さ』というのは、人間にもともと備わっている知能ではなく、社会で必要とされる知性のあり方で変わります。この知性を育むために必要なものは感性です。私が初任の頃、精神科医の講話で『知性は感性の上にしか乗らない』と教えられました。

 その感性を育む例として3つあげてみます。1つは、『様々なものを見る・体験する』。自然体験などを通して身体を刺激することや心に響くような絵本や音楽を聴くこと。次は、『自主性や個性を大切にする』。自分らしく、伸び伸びできる環境があれば、感性は機能します。3つ目は、『何かを作る経験を積む』。自分でものを作ることで、感じ、想像し創造する、その繰り返しにより感性が高まります。

 例えば、建物には土台が必要であるように、磨かれた感性が土台となると知性は堅牢な建物のようにゆるぎないものとなります。

 体育は、人間の発育に適切な運動を行い、身体を鍛えると効果的です。特に、幼児期は遊びの中で身体は鍛えられます。まず、自分の身体を動かす走る・跳ぶ・泳ぐなど。次にものを動かす投げる・蹴る・振るなど。さらには道具を使って物を動かす、ラケットなどで打つなど、段階的に身体を動かすことで基本的な運動能力の発達につながります。

 ローマの詩人ユウェナリスの名言『健全なる身体に健全なる精神が宿るように望む』。幅広い知識と教養、豊かな情操と道徳心、健やかな身体を育み、知・徳・体の調和のとれた子供を育てることが、私たち大人の役割です。(尼子尚公・教職センター教授)

 * * *

 次回からは山口偉一・教職センター教授です。
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掲載紙面(PDF):
2022年11月5日号(2482号) 3面 (12,241,566byte)
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