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赤穂義士が討ち入りに持参 自筆の槍印

 2022年11月26日 
 赤穂義士の吉良邸討ち入りで、四十七士の一人、間喜兵衛光延(1635ー1703)が槍の柄に付けていたと伝わる自筆の和歌短冊が同家ゆかりの子孫から上仮屋の赤穂大石神社にこのほど寄贈された。

赤穂義士の間喜兵衛が討ち入り時に槍につけていたと伝わる和歌短冊など間家伝来の遺品


 同神社の義士史料館で12月1日(木)から公開される。

 間家は赤穂浅野家譜代の家臣で喜兵衛は勝手方吟味役として仕えた。討ち入りには長男の十次郎、二男の新六とともに参加。69歳で四十七士の中で2番目に高齢だったが、裏門隊で大石主税を補佐し、短槍を手に奮闘した。

 寄贈された短冊(縦30センチ、幅5・5センチ)は「都鳥いさ事とわんもののふのはちある世とは知るやしらすや 光延」と和歌と諱をしたため、裏面には「藤姓末々江州蒲生氏庶流間喜兵衛尉」と出自を記している。同神社の飯尾義明宮司と非常勤学芸員の佐藤誠氏(50)=東京都西多摩郡=による調査で自筆と鑑定した。武士が戦いの際に自身の存在を明らかにするための「槍印」とみられ、上部にひもを通した跡のような小さな穴が開いている。

 喜兵衛は儒学を学び文武に秀で、普段は口数が少なく温厚だったが、筋目や義理を重んじる性格だったと言われている。短冊の和歌は在原業平の「名にし負はばいざ言問はむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと」の本歌取りとみられ、佐藤氏によれば、討ち入り前に脱盟した者を念頭に「武士の恥がある世を知っているのか、知らないのか」と嘆いているといい、武士のあり方を問う強い気概が感じられる。

 短冊は喜兵衛の二女・ともが、赤穂浅野家断絶後に赤穂に入封した永井家の家臣、福田家に嫁いだときに持参したとみられ、同家が代々大切に保管してきた。当主の正博さん=川西市=が「末永く保存・活用していてほしい」と同家に伝わる武具や古文書約20点と一緒に同神社に寄贈した。

 短冊に加え、元赤穂藩士の柔術家、平野半平から十次郎に授けられた武道心得など計5点が間家伝来の品とわかった。飯尾宮司は「この短冊が討ち入りの場にあったことを思うと大変感慨深い。武士道を貫いた彼らの思いや魂を感じ取ってもらえれば」と話している。

 義士史料館は入館料450円(中学生以下無料)。Tel42・2054。
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掲載紙面(PDF):
2022年11月26日号(2485号) 1面 (5,000,894byte)
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