住民栽培のフジバカマ開花 “旅蝶”アサギマダラも飛来
2023年10月07日
周世の「赤穂ふれあいの森」の一角で秋の七草のフジバカマが咲き、秋に南方へ移動する蝶のアサギマダラが蜜を求めて飛来。小さな白い花のまわりをフワフワと舞う蝶の姿を観察できる。フジバカマを栽培した地元在住の井口邦夫さん(78)は「今の時期ならではの光景を見に来てほしい」と話している。
フジバカマはキク科の多年草。夏の終わりから秋の初めにかけて花をつける。万葉集にも歌われ、古来から日本人に親しまれてきた植物だが、近年は環境の変化で数が減っている。アサギマダラはマダラチョウ科の仲間で、フジバカマの蜜が好物。夏に日本で生まれた個体が秋になると南西諸島や台湾まで南下することもあり、「旅する蝶」とも呼ばれる。
赤穂ふれあいの森には、かつて天台宗の寺院・神護寺があり、社領地に菜園だったとみられる平地が段々状に残っている。天台宗は薬草とつながりが深く、地元の歴史に関心の高い井口さんは「菜園で薬草が栽培されていた可能性が高い」と推測。昨年から菜園跡の一部約100平方メートルで薬草の一種でもあるフジバカマの栽培を始めた。
40株を植えた1年目はほとんどを鹿に食べられた。生き残った6株を持ち帰り、自宅で160株まで増やして今春再び移植した。周りをフェンスと網で囲い、鹿からガード。苦労した甲斐あって、9月20日ごろから花が咲き始めたという。
今月上旬、井口さんがフジバカマを見に行くと、アサギマダラが10羽ほど飛んでいた。「まさか花が咲いて最初の年からやって来るとは思わなかったので驚いた」。その後は日ごとに蝶の数が増え、20羽を超える日もあるという。
神護寺があった場所は8年前に老朽化した建物が倒壊し、現在は跡地を示す標柱が建っている。井口さんは「神護寺があった歴史を語り継ぐためにもフジバカマの栽培を続けるつもり」と話す。
菜園跡は赤穂ふれあいの森駐車場から南へ約270メートル。菜園跡まで仮設の案内標識あり。フェンス外側からの観察は自由だが、中への立ち入りは不可。井口さんが現地に滞在する10月10日(火)から15日(日)の午後1時〜4時は菜園内でも観察できる。問い合わせは井口さんTEL090・1671・8831。
掲載紙面(PDF):
2023年10月7日号(2524号) 1面 (8,811,991byte)
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周世の「赤穂ふれあいの森」でフジバカマを栽培した井口邦夫さん
フジバカマはキク科の多年草。夏の終わりから秋の初めにかけて花をつける。万葉集にも歌われ、古来から日本人に親しまれてきた植物だが、近年は環境の変化で数が減っている。アサギマダラはマダラチョウ科の仲間で、フジバカマの蜜が好物。夏に日本で生まれた個体が秋になると南西諸島や台湾まで南下することもあり、「旅する蝶」とも呼ばれる。
赤穂ふれあいの森には、かつて天台宗の寺院・神護寺があり、社領地に菜園だったとみられる平地が段々状に残っている。天台宗は薬草とつながりが深く、地元の歴史に関心の高い井口さんは「菜園で薬草が栽培されていた可能性が高い」と推測。昨年から菜園跡の一部約100平方メートルで薬草の一種でもあるフジバカマの栽培を始めた。
40株を植えた1年目はほとんどを鹿に食べられた。生き残った6株を持ち帰り、自宅で160株まで増やして今春再び移植した。周りをフェンスと網で囲い、鹿からガード。苦労した甲斐あって、9月20日ごろから花が咲き始めたという。
今月上旬、井口さんがフジバカマを見に行くと、アサギマダラが10羽ほど飛んでいた。「まさか花が咲いて最初の年からやって来るとは思わなかったので驚いた」。その後は日ごとに蝶の数が増え、20羽を超える日もあるという。
神護寺があった場所は8年前に老朽化した建物が倒壊し、現在は跡地を示す標柱が建っている。井口さんは「神護寺があった歴史を語り継ぐためにもフジバカマの栽培を続けるつもり」と話す。
菜園跡は赤穂ふれあいの森駐車場から南へ約270メートル。菜園跡まで仮設の案内標識あり。フェンス外側からの観察は自由だが、中への立ち入りは不可。井口さんが現地に滞在する10月10日(火)から15日(日)の午後1時〜4時は菜園内でも観察できる。問い合わせは井口さんTEL090・1671・8831。
フジバカマの蜜を吸うアサギマダラ
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