《市民病院医療事故多発》院長命令に背き侵襲的検査12件 3件は文書通達後
2025年01月04日
手術ミスによる業務上過失傷害罪で起訴された元赤穂市民病院の脳神経外科医、松井宏樹被告(46)が同病院に在籍中に行った手術(カテーテル検査など侵襲的検査を含む)のうち12件が病院から手術禁止を言い渡された後に命令に反して行われたことが明らかになった。
しかも、うち3件は手術禁止を文書で再徹底された後に行われており、同病院の医療安全統制がまったく機能していなかったことを示している。
同医師は2019年7月に同病院に中途採用され、21年8月に依願退職した。病院のまとめでは、この間に手術室で38件、血管造影室で45件の手術・侵襲的検査を実施したという。
同医師が関わった手術では、着任から8か月間で8件の医療事故が発生。藤井隆院長(当時)は20年3月1日、本人に手術と侵襲を伴う検査を行わないよう口頭で指示した。しかし、同医師は、その月に2件、6月と7月に1件ずつ、さらに9月に5件の侵襲的検査を血管造影室で実施。10月に院長が指示を徹底しようと改めて文書で通達したものの、12月にも侵襲的検査を3件行ったという(なお、これら計12件とは別に、助手として参加していた手術で途中から科長に代わって執刀したケースが1件あったことを病院も認めているが、病院は松井医師の手術件数に計上していない)。
これまで病院は、院長の指示に反して医療行為が行われた理由を「指示が文書ではなく口頭で行われ、中止の範囲の解釈が異なって理解された」と説明してきた。一連の医療事故への対応について検証した外部有識者会議も、病院の説明を前提に「文書で指示すべきだった」と再発防止策を指摘している。
ところが実際は、文書による通達の後も院長命令に反して医療行為が行われていた。問題の本質は、指示が口頭だったこととは別にあることになる。病院の説明は実態に即しておらず、外部有識者会議の指摘は再発防止策として十分ではないことは明らかだ。
文書通達後も指示が守られなかったのはなぜなのか。周囲にいた医療従事者はなぜ止めなかったのか。あるいは松井医師が手術や侵襲的検査を禁じられていたことを知らなかったのか。禁止後の手術や検査で医療事故は起きなかったのか。患者には説明と謝罪をしたのか。
赤穂民報はこれらの疑問を12月26日までに質問。病院は「(禁止後の12件で)医療事故はない。患者への説明や謝罪はしていない」と回答し、その他については27日までに回答はない。
* * *
外部有識者会議(赤穂市民病院ガバナンス検証委員会)の報告書によると、最初の手術・侵襲的検査の中止指示の後、2020年3月中に院長と副院長から再度指示を伝達したとの記載がありました。さらに、同年5月には院長が中止指示の延長を伝達したとともに、同年3月に松井医師が助手として手術に加わっていたことについて厳重注意したとの記載がありました。これらの出来事を図表に追加しました。(2025年1月6日12時15分)
掲載紙面(PDF):
2025年1月1日号・第2部(2582号) 1面 (7,145,987byte)
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しかも、うち3件は手術禁止を文書で再徹底された後に行われており、同病院の医療安全統制がまったく機能していなかったことを示している。
同医師は2019年7月に同病院に中途採用され、21年8月に依願退職した。病院のまとめでは、この間に手術室で38件、血管造影室で45件の手術・侵襲的検査を実施したという。
同医師が関わった手術では、着任から8か月間で8件の医療事故が発生。藤井隆院長(当時)は20年3月1日、本人に手術と侵襲を伴う検査を行わないよう口頭で指示した。しかし、同医師は、その月に2件、6月と7月に1件ずつ、さらに9月に5件の侵襲的検査を血管造影室で実施。10月に院長が指示を徹底しようと改めて文書で通達したものの、12月にも侵襲的検査を3件行ったという(なお、これら計12件とは別に、助手として参加していた手術で途中から科長に代わって執刀したケースが1件あったことを病院も認めているが、病院は松井医師の手術件数に計上していない)。
これまで病院は、院長の指示に反して医療行為が行われた理由を「指示が文書ではなく口頭で行われ、中止の範囲の解釈が異なって理解された」と説明してきた。一連の医療事故への対応について検証した外部有識者会議も、病院の説明を前提に「文書で指示すべきだった」と再発防止策を指摘している。
ところが実際は、文書による通達の後も院長命令に反して医療行為が行われていた。問題の本質は、指示が口頭だったこととは別にあることになる。病院の説明は実態に即しておらず、外部有識者会議の指摘は再発防止策として十分ではないことは明らかだ。
文書通達後も指示が守られなかったのはなぜなのか。周囲にいた医療従事者はなぜ止めなかったのか。あるいは松井医師が手術や侵襲的検査を禁じられていたことを知らなかったのか。禁止後の手術や検査で医療事故は起きなかったのか。患者には説明と謝罪をしたのか。
赤穂民報はこれらの疑問を12月26日までに質問。病院は「(禁止後の12件で)医療事故はない。患者への説明や謝罪はしていない」と回答し、その他については27日までに回答はない。
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外部有識者会議(赤穂市民病院ガバナンス検証委員会)の報告書によると、最初の手術・侵襲的検査の中止指示の後、2020年3月中に院長と副院長から再度指示を伝達したとの記載がありました。さらに、同年5月には院長が中止指示の延長を伝達したとともに、同年3月に松井医師が助手として手術に加わっていたことについて厳重注意したとの記載がありました。これらの出来事を図表に追加しました。(2025年1月6日12時15分)

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コメント
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投稿:クロ兵衛 2025年01月05日この症例については、2022年6月に赤穂市民病院が行った記者会見で記者が質問しましたが、病院は「議論の俎上には上がったが、事故ではないという結論に至った」(高尾雄二郎副院長)と答えました。
赤穂市民病院の基準では、「医療事故(アクシデント)」と「ヒヤリ・ハット(インシデント)」の区分について、レベル3aとレベル3bで線引きしています。
レベル3a=事故により簡単な処置や治療の必要性が生じた場合(バイタルサインの軽度の変化、安全確認のための検査などを施行)
レベル3b=事故により濃厚な処置や治療の必要性が生じた場合(バイタルサインの高度の変化、人工呼吸器装着、手術、入院日数の延長、外来・入院患者の骨折等を含む)
肺挫傷が起きながら、「濃厚な処置や治療の必要性」は生じなかったのか。その点は病院は明らかにしていません。
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投稿:赤穂民報 2025年01月05日市民病院は、手術禁止後に医療事故が起きていないかのような回答をされているようですが、2023年にウェブ公開された「赤穂市民病院ガバナンス検証委員会報告書」によれば、『当該医師の医療事故等』として「2020年3月 事案⑪ 水頭症手術に伴う肺挫傷の出現」と記載されています。この事案は手術禁止後のものです。
赤穂市民病院ガバナンス検証委員会報告書(事案⑪の記載は10ページ)
https://amh.ako.hyogo.jp/wp-content/uploads/2023/10/ae29d1447fabe7007ca7ac21e367e9d1.pdf
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投稿:手術禁止後に起きた事案⑪ 2025年01月05日
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投稿:とむ 2025年01月05日やはり市役所が病院運営を続けるのは難しそうだ。隠蔽体質は変わらない。
59
6
投稿:寝正月 2025年01月05日事実解明を関係者全体についてやって欲しいし、
役所がどのように関わって来たかも調べて
欲しい
48
3
投稿:通りすがり 2025年01月05日
43
7
投稿:ダメでしょう 2025年01月04日
58
6
投稿:絶句 2025年01月04日
66
6
投稿:あ 2025年01月04日コメントを書く