版画専門美術館が最終企画展 2月休館へ
2025年01月25日
全国的にも珍しい版画専門の私設美術館として運営してきた尾崎の「たでのはな美術館」が来月をもって休館する。江戸期の浮世絵から昭和の作家まで幅広い作品を所蔵し、「じっくりと版画の魅力を味わえる場」を提供してきた施設の事実上の閉館が惜しまれる中、最終企画展「日本版画界の巨匠 斎藤清II」を開いている。
日本板画院委員で「孤山」の号をもつ元高校教諭、佐野正幸館主(84)=元塩町=が2005年、加里屋お城通りの貸店舗に開設。来館者数の減少で一旦閉館したものの、12年に現在の場所で再オープンした。通算16年間にわたり年3〜4回開いてきた企画展で紹介した作品数はおよそ1500点に及ぶ。
佐野さんが版画作品を収集するようになったのは30代半ば以降。趣味が高じて始めた版画制作活動の参考にしようと、棟方志功や平塚運一といった一流作家らの作品を購入した。そのうちコレクションがどんどん増え、「せっかく集めたこれらの作品を自分以外の人にも見てほしい」と私設美術館をオープン。入館料は開館当初から変わらず200円のままで、「素直な感性を持っている子どものうちに良いものに接してほしい」と小学生以下は無料を貫いた。
赤穂の地名由来とも言われる蓼の花にちなみ、「小さな花が実を結んで穂となっているように、赤穂の美術の拠点に育っていくこと」を願って施設名称を付けた佐野さん。変わらぬ思いで館の運営を続けてきたが、自身の年齢と体調を考え、休館を決心した。
最終企画展のテーマに選んだのは、現代美術の国際展「サンパウロ・ビエンナーレ」で日本人初の受賞を果たした斎藤清(1907―97)。代表作「会津の冬」シリーズをはじめ各年代の作品約30点を展示し、斎藤が参考にしたとされる安井曾太郎の作品2点も紹介している。佐野さんは「日本の伝統的な情景や文化を題材に、徹底した省略と誇張によって生み出された作品が特長。独自の技法で独自の世界を切り拓いた作家の魅力を味わってほしい」と話す。
2月25日(火)まで午前10時〜午後4時。水曜休館。明神木バス停すぐ。TEL090・3496・4282。
掲載紙面(PDF):
2025年1月25日号(2584号) 1面 (5,803,816byte)
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最終企画展で展示されている斎藤清の作品と佐野正幸館主
日本板画院委員で「孤山」の号をもつ元高校教諭、佐野正幸館主(84)=元塩町=が2005年、加里屋お城通りの貸店舗に開設。来館者数の減少で一旦閉館したものの、12年に現在の場所で再オープンした。通算16年間にわたり年3〜4回開いてきた企画展で紹介した作品数はおよそ1500点に及ぶ。
佐野さんが版画作品を収集するようになったのは30代半ば以降。趣味が高じて始めた版画制作活動の参考にしようと、棟方志功や平塚運一といった一流作家らの作品を購入した。そのうちコレクションがどんどん増え、「せっかく集めたこれらの作品を自分以外の人にも見てほしい」と私設美術館をオープン。入館料は開館当初から変わらず200円のままで、「素直な感性を持っている子どものうちに良いものに接してほしい」と小学生以下は無料を貫いた。
赤穂の地名由来とも言われる蓼の花にちなみ、「小さな花が実を結んで穂となっているように、赤穂の美術の拠点に育っていくこと」を願って施設名称を付けた佐野さん。変わらぬ思いで館の運営を続けてきたが、自身の年齢と体調を考え、休館を決心した。
最終企画展のテーマに選んだのは、現代美術の国際展「サンパウロ・ビエンナーレ」で日本人初の受賞を果たした斎藤清(1907―97)。代表作「会津の冬」シリーズをはじめ各年代の作品約30点を展示し、斎藤が参考にしたとされる安井曾太郎の作品2点も紹介している。佐野さんは「日本の伝統的な情景や文化を題材に、徹底した省略と誇張によって生み出された作品が特長。独自の技法で独自の世界を切り拓いた作家の魅力を味わってほしい」と話す。
2月25日(火)まで午前10時〜午後4時。水曜休館。明神木バス停すぐ。TEL090・3496・4282。
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