内蔵助使用の「分限帳」か?
2008年03月15日
一般公開が始まった「浅野家分限目録」
分限帳は家臣の禄高、役職、名前などを記載した当時の“職員名簿”。同家のものでは国立国会図書館蔵の「浅野家分限期」など数点が見つかっている。
今回公開されているのは昨年7月に市教委が入手した縦24センチ、横17・3センチ、厚さ1・5センチの袋とじ冊子で100ページ。後世に外表紙を製本したものとみられ、虫食いの修復跡はあるものの保存状態は良好。平成18年7月に東京であった骨とう品の入札会に出品されているのを市が見つけ、古美術商を介して55万円で購入した。出品者、由来は不詳。
扉中央に「浅野家分限目録」の文字と「可笑」の朱文方印(22ミリ角)、右上に元の所有者とみられる「宮地」の判が押されている。1枚めくったところから始まる本文は「千五百石 大石内蔵助」を筆頭に家臣など495人の禄高や役職、名前が身分の高い順に列記され、討ち入り後の義士たちを治療した藩医・寺井玄渓の名も。巻末のページにも扉と同じ落款を朱印している。
市教委によると本文中に義士47人中38人が登場。全員の名前の上部に丸印が朱筆されている。これらは「後世に書き加えられたもの」(市教委)とみられ、志半ばで病死した矢頭長助にも同じ印。討ち入り前に自刃した萱野三平には「△」の印がついている。当時、家臣ではなかった不破数右衛門や足軽だった寺坂吉右衛門、それに家督相続しなかった義士計9人の名前は載っていない。
国会図書館蔵の分限記では「五拾石」と誤記されている堀部弥兵衛の隠居料が正しい「弐拾石」と記載され、小野寺十内はこれまでの史料には見られない「小野寺作之進」と表記している。
年代は書かれていないが、堀部弥兵衛の隠居が認められたのが元禄10年(1697)であることから、「その年からお家断絶となった元禄14年までの間に作成」とみてよい。
内蔵助の筆跡に詳しい東京都西多摩郡の義士研究家、佐藤誠氏は「大石が切腹前に幕府に提出した『親類書』の筆跡に似ている」と分析。ただし、「親類書」は一説には原惣右衛門の代筆とも言われている。また、同氏は「宮地」の判について、「赤穂森家に同姓の家臣があり、それとの関連が気になる」と話している。
市教委は落款や筆跡を重点に今後鑑定を進める予定。「内蔵助のものでないとしても、内容的に第一級の史料。詳細に解読し、歴史研究に役立てたい」と話している。
6月25日(水)まで2階展示フロアで公開。午前9時半〜午後5時、火曜休館。入館料は大人200円、小・中学生100円。Tel43・4600。
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2008年3月15日(1785号) 1面 (10,930,261byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
[ 文化・歴史 ]
広重から近現代まで「華」版画展 [ 文化・歴史 ] 2023年02月17日福浦の奥道一二美さん 趣味の水彩画展 [ 文化・歴史 ] 2023年02月15日「一部浪士の脱盟は広島藩の意向か」義士会講演会 [ 文化・歴史 ] 2023年02月12日播磨各地の城下町 発掘成果の特別展 [ 文化・歴史 ] 2023年02月10日日本遺産写真展 図書館で3日から [ 文化・歴史 ] 2023年02月02日赤穂の魅力再発見講座 有年山城のフィールドワークも 故西山松之助氏 生誕110年記念で特別展 [ 文化・歴史 ] 2023年01月25日塩竈神社など日本遺産文化財に説明板 [ 文化・歴史 ] 2023年01月22日ふるさと文化講座「旧赤穂郡域の獅子舞」などテーマ [ 文化・歴史 ] 2023年01月14日キャンバスの会 13日から図書館で作品展 [ 文化・歴史 ] 2023年01月10日15日に各神社で「とんど祭り」 ユネスコ文化遺産「大垣祭」赤穂出身画家が天井画制作中 [ 文化・歴史 ] 2023年01月01日全国伝統的工芸品展で赤穂緞通作家2人入選 [ 文化・歴史 ] 2023年01月01日有年考古館で企画展「看板・立札・道しるべ」 [ 文化・歴史 ] 2022年12月22日「ウサギのように飛躍を」児童ら描いた干支大絵馬
コメント
事件に絡んだ人や、その他の人々の禄高などが、書かれた書籍が分かりました。また寺の一角に進藤家があります。ネットで調べると赤穂では小山家と新藤家は親戚であった事が記されています。当村との関係が分かるのではないかと考えています。 何か手掛かりがあれば教えて下さい。
0 0
投稿:門田繁美 2017年03月31日コメントを書く