「長年の疲れ癒して−」銅像に湿布
2010年08月31日
緑青除去作業が行われている山鹿素行像
一時期を赤穂で過ごし、大石内蔵助ら藩士の思想に影響を与えたとされる江戸前期の儒学者、山鹿素行(1622−85)の銅像は240回忌の大正14年、二之丸住居跡に建立。“日本彫刻界の父”と言われる白井雨山(しらい・うざん)が手がけた。戦時供出で昭和19年から台座だけとなったが、33年の義士祭当日に再建。城跡公園の整備に伴い、平成10年に元あった場所から約50メートル北に移された。
再建以来50年以上が経過した像は近年、頭部や顔面などに緑青(ろくしょう、塩基性のさび)が筋状に目立ち、市民や観光客から「見苦しい」などの苦情や改善要望が数多く寄せられるようになった。赤穂義士会が市教委、赤穂山鹿素行研究会と除去することにした。
作業初日は市教委学芸員、ボランティア計6人が参加。水を含ませた和紙を湿布した上から薬剤が染み込んだ高分子ポリマー材を数分間押し当て、水ぶきする工程を繰り返した。薬剤を当て過ぎると新品の10円玉のような色になってしまうため、慣れるまでは時計で時間管理。除去が進むにつれ、ほおを伝う涙のように見えていたムラが目立たなくなり、黒褐色のりりしい表情が復活した。
塩酸などの劇物使用が困難な屋外銅像の緑青除去は全国的にも珍しく、作業には専門知識を持つ岡山県津山市の埋蔵文化財発掘調査会社「フジテクノ」が無償で技術提供。調査部社員の山本宗昭さん(36)が100種以上の薬剤で実験を重ね、人体に害のない弱酸性水溶液を採用した。あらかじめ像の目立たない部分で試行し、悪影響がないことを確かめた。
特にさびが強い箇所は複数回の薬剤塗布が必要で、作業完了には数日かかる見通し。山本さんは「赤穂のみなさんにとって大切な銅像の美化作業に関われて光栄。少しでも元の姿に近づけるよう努力したい」と話している。
命日にあたる9月26日には遺徳を偲ぶ「素行祭」が銅像前で行われる。
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2010年9月4日(1910号) 1面 (10,110,203byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
子らも2年ぶり参加し「お田植え祭」 「線画と版画」郷土の画家展 [ 文化・歴史 ] 2021年06月17日絵画を楽しむ会 20日までギャラリー展 [ 文化・歴史 ] 2021年06月17日コンセル・ヌーボ 20日に2年ぶり定期演奏会 五輪公式サイトがリンク アートマイル展 「忠臣蔵」演じた役者名鑑 2万人超収録 [ 文化・歴史 ] 2021年06月05日つつじ賞、さくら賞など3個人3団体 渋沢栄一が説く「おかねの役割」絵本寄贈 藩主献上の銘酒 昔ながら製法で新商品 赤穂美術協会40回展 28日から [ 文化・歴史 ] 2021年05月27日ワクチン予約を民生委員が支援 「電車のある風景」テーマに写真展 [ 文化・歴史 ] 2021年05月16日赤穂民報主催・第35回習字紙上展の出品規定 姫路市長賞作品を献画 大津の橋本正史さん [ 文化・歴史 ] 2021年05月14日ビートルズ文化博物館 15日から5周年特別展 [ 文化・歴史 ] 2021年05月14日
コメントを書く