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防潮堤建設決めた一枚の写真

 2010年09月25日 
防潮堤がなかった56年前の台風写真=城尾豊さん提供
 北野中の元会社員、城尾(じょうのお)豊さん(80)が、56年前に撮影した台風写真を本紙へ持参してくれた。
 写真の撮影日は昭和29年9月26日。大型で強い勢力の台風15号が接近し、城尾さんが住んでいた坂越・小島地区は高潮と高波にさらされていた。当時24歳の城尾さんは暴風がやや収まった夕方、愛用のカメラを手に表へ。立ててあったドラム缶の上に立ち、海沿いの民家に高波が打ち付ける様子を撮影した。
 写真には、高さ10メートルはあるとみられる高波が民家2階の屋根をたたく瞬間が記録されていた。「もっと激しい台風のときには、家屋や倉庫が壊れたこともあった」という城尾さんの話もうなずける。
 撮影から20年後。たまたま写真を見た当時の自治会長が国と県へこの写真を提出。それまで何度陳情しても「予算がない」と見送られてきた防潮堤建設予算が認められ、5年かけて延長約500メートルが築堤された。
 「自分の写真が役に立ってよかった」。城尾さんにとって忘れられない一枚だ。
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掲載紙面(PDF):
2010年9月25日(1913号) 3面 (8,806,866byte)
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