最後のチェリー“お別れ煙草”
2011年09月23日
一本ずつ心を込めて「お別れ煙草」を梱包する梅本邦夫さん
若草町の会社役員、梅本邦夫さん(49)は、たばこを吸い始めたときからチェリー一筋。「ほのかに甘い香り、ぐっと来るのど越しがたまらない」と一日平均1箱を服してきた。記念たばこなど収集した関連グッズは約2000点。13年前にはファン交流サイト「CHERRY友の会」を立ち上げ、“チェリーを日本一愛する男”を自認してきた。
東日本大震災で工場や流通経路が被災した日本たばこ産業(JT)は5月12日に出荷再開を発表。しかし、チェリーは「震災前においても販売数量が少なかった」などの理由で“廃止”の23銘柄に含まれた。目当てのパッケージは店頭から姿を消し、尼崎の兄が買い送ってくれた2箱だけ何とか入手できたものの、封を開ける気にはなれなかった。
JTの発表から1週間後、友の会サイトを見た東京都内の男性から、「友人の父が亡くなり、仏前に愛煙のチェリーを供えたい。1本でもいいので譲ってほしい」という旨のメールが届いた。見知らぬ故人とはいえ同好の士。“虎の子”を開封して2本を郵送した。
お礼のメールを読み、「送ってあげてよかった」と感じた梅本さん。「一人でも多くの人に最後の一服を味合わせてあげたい」と「お別れ煙草」の発送をHPで告知した。すると、「これも使ってください」と愛好者2人から未開封品が計3箱送られてきた。
「お別れ煙草」は丁寧に梱包して送られる。「ありがとうCHERRY さようならCHERRY」と印字したボール紙で包み、チャック付きのビニール袋に封入。そして、捨てずに保管しておいた古いパッケージを1枚ずつ同封する。「たった1本とはいえ、姿も風味もベストの状態で届けたい」との心遣いだ。
全部で100本あったチェリーは9月20日の時点で残り10本となった。そのうちの1本は発送を終えた後、「自分へのごほうび」として火をつけることにしている。
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掲載紙面(PDF):
2011年9月23日(1960号) 1面 (6,786,464byte)
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コメント
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投稿:あんり 2023年05月29日こういう記事を書く民報も好きやわ〜
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投稿:熊本のモー 2011年09月23日コメントを書く