不戦を願い元徴用船員が手記
2011年11月19日
手記と画集を寄贈した坂元茂昭さん
坂元さんは昭和18年8月に官立大阪海員養成所を卒業し、甲板員として16歳で東亜海運に入社。軍部が民間から強制的に取り立てた徴用船で人や物資を朝鮮半島、台湾などへ輸送する業務に関わった。敵の潜水艦、艦載機の攻撃に何度もさらされ、しかも終戦間際には長崎で被爆。九死に一生を得て、戦後は海外に残った日本人引き揚げ者の帰国輸送に従事した。
「戦時中の光景が脳裏に焼き付いて離れない」という坂元さん。「生き残った自分の使命」と戦後50年の平成7年に手記をまとめた。これまでは知人、友人の数人にしか見せていなかったが、「戦没船員や徴用船の悲惨な最期を広く市民に知ってもらうことで、二度と戦争のない平和な世の中になってほしい」と冊子50部を自費で作った。
手記はA4判横11ページ。撃沈された僚船の乗組員たちに救命具を投げ与えることしかできなかった修羅場、自分が1カ月前まで乗っていた船が台湾沖で沈められたショックなどを生々しく記述している。
「仲間が目の前でいなくなる恐怖。死に対する恐怖。戦争の無意味さを若い人たちにも知ってほしい」と目を赤らめて話す坂元さん。船舶会社の嘱託画家、大久保一郎氏が生き残り船員からの聞き取りを基に描いた画集「戦時徴用船の最期」(日本殉職船員顕彰会刊、非売品)も寄贈した。
市教委は手記と画集を市立図書館の蔵書に加え、手記は市内各小中学校に配布した。
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2011年11月19日(1967号) 1面 (10,672,352byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
テロ災害想定し関係機関が訓練 [ 社会 ] 2020年02月21日新型コロナ相談 3週間で37件 [ 社会 ] 2020年02月20日特殊詐欺被害防いだコンビニ店員に署長感謝状 [ 社会 ] 2020年02月20日《西有年産廃》県民局長「専門家に言わせて」発言か [ 社会 ] 2020年02月08日県が公文書作り替え「偽造」の指摘も [ 社会 ] 2020年02月08日義士命日に恒例の厄除け大根 [ 社会 ] 2020年02月04日《西有年産廃》無届け伐採の報告書受理 [ 社会 ] 2020年02月01日議員定数 会派代表者会でも「現状維持」 新型肺炎の感染拡大に備え態勢徹底 [ 社会 ] 2020年01月29日「文化財防火デー」前に消防訓練 議員定数協議「現状維持」が大半 救急出動件数3年ぶり減少 [ 社会 ] 2020年01月24日《市公共工事贈収賄》元土木係長に執行猶予付き有罪判決 防火へ士気高揚 消防出初式 [ 社会 ] 2020年01月19日永年勤続の従業員を表彰 [ 社会 ] 2020年01月14日
コメントを書く