孤高の書家「萩原露堂遺墨展」
2008年07月20日
民俗資料館で開催中の萩原露堂遺墨展と長男健児さん
露堂(本名美男)は大正6年、鉄工所を営む加里屋の家に二男として生まれた。
幼少時から勉学、書に優秀。18歳で教員免許を取得したが、同時に父を亡くし、教職の道をあきらめて家業を支えた。
終戦の翌年に金物の小売店を開き、そのかたわらで書道の研究にいそしんだ。昭和49年に妻との死別を機に自宅で書道教室を開くようになり、自身の創作活動もより活発に。平成15年に87歳で没するまでに手がけた作品は600点を超える。
晩年は書道から彫刻にも活動の幅を広げ、とりわけ漢詩や和歌、座右の銘などの墨跡を木や竹、石に刻むことを生きがいとした。京都や奈良の名刹から扁額などの修復依頼を受けるなど、その実績は“趣味”の範ちゅうを超えていた。
中央書壇への出品には全く興味を示さず、「一生稽古」を信条にただひたすら修練を重ねた。今展では数多くの遺作の中から特に心血を注いだと思われるものを元高校校長の長男健児さん(63)=神戸市垂水区=が選び出し、約70点を展示。生前一度も個展を開くことのなかった故人の作品を目にする貴重な機会となっている。
雅号は、「明歴々 露堂々」(物事をはっきり見極め、隠すことなくあらわにし、堂々としている)から花岳寺前住職の片山伯仙和尚が命名した。健児さんは「作品を通して、我が道を貫いた父の生き様を感じ取ってもらえれば」と話している。
8月10日(日)まで。午前9時半〜午後5時、火曜休館。入館料は大人100円、小中学生50円。Tel42・1361。
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2008年7月26日(1805号) 1面 (8,934,047byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
能に新風「世阿弥」好演 スーパー能「世阿弥」公演迫る 森家ゆかりの本源寺 国重文へ [ 文化・歴史 ] 2013年07月02日勾玉作りなど特別体験教室 10月開催 ル・ポン国際音楽祭 復活して10年「お田植祭」 [ 文化・歴史 ] 2013年06月24日「絵画を楽しむ会」ギャラリー展 [ 文化・歴史 ] 2013年06月24日華やかに「乾杯」30回目の定演 [ 文化・歴史 ] 2013年06月23日文様に感動、雲火焼の作陶体験 [ 文化・歴史 ] 2013年06月23日赤松氏一族の歴史を学ぶ 「塩田案内人」受講者10人募集 夏休み子ども茶道教室 鳥井の「曳きとんど」29年ぶり復活へ [ 文化・歴史 ] 2013年06月18日「感謝」テーマに千種会書展 [ 文化・歴史 ] 2013年06月16日早乙女が「お田植祭」
コメントを書く